『可動性(MOBILITY)と安定性(STABILITY)』

身体の効率的な動作には可動性と安定性が必要です。

よく聞く柔軟性と可動性は少し異なり、柔軟性はそれぞれの筋肉を伸張する能力。
可動性は、筋肉と関節が含まれ、より広い範囲での動きを含みます。
例としては、スクワットをしていく際に太ももが床と平行になる姿勢を過ぎても踵をフラットに保てる能力などが可動性に当たり、複数の関節や筋肉が関わっています。

筋力は力や動きを発揮する能力と定義されますが、安定性は力や動きをコントロールする能力です。
多くの場合、安定性は筋力の基礎となります。

腕を頭上へ持ち上げる動作を例に考えてみると、まず、腕を頭上へ移動させられるだけの可動性が関節と筋肉に必要です。
次に、肩甲帯の筋群が、肩を身体から引き離さずに安定した位置を保てないといけません。
肩を安定した位置に保つことで、腕の筋肉がうまく働き腕を頭上に持ち上げることができます。

このとき最初に収縮するのは、大きな動作を生む筋肉ではなく、肩甲帯を安定させる筋肉です。

まず、最初に安定性のために筋肉が収縮し、それに次いで動作のための筋肉が収縮します。

子供の動作の学習では、通常、可動性や柔軟性の問題は起こりません。しかし、安定性が備わっていないため、筋力だけではなくコントロールする能力が欠けています。
これは、動作を学習するうえで理想的な状況です。
子供は、動きながら試行錯誤と感覚によって、コントロールする能力を発達させています。
幼児は自然に寝返りを打ち、ハイハイができるようになり、つかまり立ち、立位などの動作ができるようになります。
身体のある部分を安定させ、他の部分を動かしたとき、その動きが合っていれば、行きたい方向へ進むことができます。
間違っていたり、バランス、協調性に失敗したりすれば、行きたい方向には身体が動きません。
そこで、試行錯誤を繰り返し、正しい運動のプログラムだけが強化され、ゆっくりと身体をコントロールする能力を習得していきます。

成人の動作学習では、ある動作パターンや動きを身に着けていくときにも運動プログラムが作られます。
そのときの身体の可動性や安定性が運動プログラムに影響を与えます。
筋肉や関節の硬さによる可動性の低下によって、あるいは筋力、協調性、コントロール能力の不足による安定性の低下によって、動作に問題がある場合、その動作パターンは代償が必要なために変化起こし、不適切な運動プログラムを作ってしまいます。

正しい運動プログラムの習得には、可動性と安定性が重要です。

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