筋収縮力と剛性と脊柱安定性

筋が収縮するとき、力と剛性が生成されます。

剛性は常に安定化するように働きますが、力は安定化にも不安定化にも働きます。

筋力の発揮とそれに対応する剛性の関係は完全に非線形であり、剛性の増大は筋活動開始後早い段階から生じます。

つまり、筋が活性化するにつれて、脊柱は安定性を増します。

しかし、力が増加し続ける場合は、剛性はほとんど増加せず、それどころか、筋力発揮が大きくなりすぎることで脊椎の座屈を誘発します。

したがって、脊柱安定性を向上させるためには、筋力発揮と剛性のバランスを考えなければなりません。

また、この場合は単一の筋群だけをみるのではなく、貢献するすべての筋のバランスを見る必要があります。

このバランスですが、不十分な剛性では関節を不安定にさせてしまうのは明白です。

しかし、過大な剛性と筋収縮は関節に過度な負荷をもたらし、運動の妨げにもなります。

十分な安定性とは、安定性に必要な筋の剛性と考えられますが、少し余裕をもった安定性がなければならないとされています。

一般的に、適度な筋力により関節剛性が増加すれば、大きい筋力は必要とされないと言われています。

正常な脊椎をもつほとんどの人では傍脊柱筋や腹壁の筋の適度な同時収縮により、腰椎の十分な安定性がもたらされることが明らかになっています。

このことは、腰痛患者からアスリートに至るまで、人はすべての活動において低出力で持続的な筋活動を維持しなければならないということを意味しています。

したがって多くの場合、「不十分な筋力」ではなく、「不十分な持久力」であると考えられます。

経験的に考えても、強い腹筋は必ずしも脊椎、特に腰椎に対する安定性がもたらされるわけではないことが分かることでしょう。

関連記事

コメントは利用できません。

ピックアップ記事

  1. 2017-9-22

    リュックサックによる腰椎への圧縮軽減

    リュックサックはバッグとしての優れた役割もさることながら、腰椎への負荷軽減ギアとしても効果を発揮しま…
  2. 2017-9-5

    筋線維の形態的特徴について

    筋の形態は、張力発生能力、可動域、短縮速度に著しい影響を及ぼします。機能に影響を及ぼす形態的…
  3. 2017-8-11

    アフォーダンスとカノニカルニューロン

    随意的な動作は、中枢で生じた運動の意図が顕在化したものであり、「目的」はそれを達成するための筋道を決…
  4. 2017-7-19

    筋の拮抗的・共同的中和

    運動を円滑に遂行するために骨格筋はそれぞれ主動作筋、共同筋、拮抗筋と役割を持ちます。一般には…
  5. 2017-7-18

    クレンチング(食いしばり)と運動の関係

    クレンチングとは、無意識的に上下の歯を強く噛みしめる動作をいいます。習慣化されたものはブラキ…

FACEBOOKもチェック!

注目TOPIC

  1. 2016-6-20

    大腿骨はどのようにして脛骨上を動くのか

    屈曲・伸展時において大腿骨は、脛骨上を転がり、そして滑ることで、その動きを可能にしています。…
  2. 2015-4-25

    約60兆個もある細胞とは

    人間は約60兆個の細胞からできています。生体を構成する最小単位であり、種々の細胞は形態と…
  3. 2015-10-17

    ポッピングサルコメア仮説とは

    オーストラリアの電気技師David Morganは、遠心性収縮に伴う筋損傷について、損傷をもたらすの…
  4. 2017-2-6

    体を正しく動かすために

    トレーニングやスポーツ競技を行ううえで炎症が起こることがあります。野球でヒジや肩などの障害は…
  5. 2016-2-25

    土踏まずの役割

    ヒトの足で、他の動物にはみられない最大の特徴が、アーチの形成です。ヒトの足のアートは、踵骨と…
ページ上部へ戻る