リュックサックによる腰椎への圧縮軽減

リュックサックはバッグとしての優れた役割もさることながら、腰椎への負荷軽減ギアとしても効果を発揮します。

リュックサックは荷物の運搬方法において運動強度が低い方法のひとつとされており、さらなる工夫によっては腰椎にポジティブな効果を生み出すと考えられています。

まず一般的に、凹凸のある地形を歩行する際は、腰部へのモーメントアームが最小限になるように、重量のある荷物はリュックサックの中において下部に置くと良いでしょう。

凹凸のある地面では荷物が運ばれるたび、加速と減速が生じます。

荷物を腰部の近くに置くことで、リュック全体を運ぶのに必要な力は軽減されます。

一方で、平坦な道であれば、重量のある荷物はリュックの上部に置き、腰部や股関節の支点の真上にすることで、体幹の力は小さくて済み、結果として腰椎への負荷も減少します。

実際に、体幹を前傾させる疼痛回避姿勢を呈す椎間板由来の腰痛患者に対し、腰椎付近に負荷をかけるリュックを背負わせ不整地を歩かせるといったアプローチもあるようです。

リュックにより伸展モーメントが加えられ、屈曲姿勢で収縮していた伸筋は負担が軽減し、体幹は直立姿勢方向に持っていかれます。

また、研究においても9kgの負荷をリュックに入れて持ち運んでも腰椎への負荷は増えなかったという報告もあります。

このリュックサックによるエクササイズは、筋活動を抑えることによって圧縮を減少させることが狙いであり、これがリュックサック内の負荷よりも大きい場合、最終的に腰椎に加わる圧縮は減少します。

しかし、日常でよくみられる肩紐を最大まで長くする背負い方では、腰椎へのモーメントアームが長くなるため、腰部への負荷は高まると考えられます。

エクササイズではなく日常で用いる場合は肩紐の長さを変化させて負荷の位置を変えるといいでしょう。

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