腋窩陥凹はハンモックのように

肩甲上腕関節の関節包靱帯は複雑なコラーゲン線維の交わりあった束から構成され、それぞれ上・中・下の3つの線維束に分けられます。

腋窩陥凹は前部線維束、後部線維束と結合し、下関節上腕靭帯を構成します。

これら下関節上腕靭帯は、ハンモックやスリングのように上腕骨頭を支えており、特に肩関節外転90°のとき緊張します。

緊張した腋窩陥凹はハンモックのように作用することで吊り下がった上腕骨頭を支持し、下方や前後並進に抵抗する「ゆりかご効果」として機能しています。

外転位において、前部線維束と後部線維束はそれぞれ極度の外旋や内旋時にも緊張します。

前部線維束は関節包全体のなかで最も強力で分厚い部分であり、特に重要とされます。

それは前部線維束が外転および中間位の両方で上腕骨頭の前方並進に対する主な抑止力として機能するためです。

外転や外旋を含む強力で動的な動作では、下関節包の前部線維束に特異的なストレスがかかります。

例えば、野球の投球動作におけるコッキング相の際に生じます。

頻繁にこの動作を繰り返すと、前部線維束は過伸長するか断裂します。

そのため上腕骨頭の前方並進に対する主たる抑止力の1つが障害されることになります。

この動作肢位における前部や下部関節包の損傷や緩みの増加は繰り返し起こる肩甲上腕関節の前方脱臼と強く関係しています。

 

関連記事

コメントは利用できません。

ピックアップ記事

  1. 2017-7-19

    筋の拮抗的・共同的中和

    運動を円滑に遂行するために骨格筋はそれぞれ主動作筋、共同筋、拮抗筋と役割を持ちます。一般には…
  2. 2017-7-18

    クレンチング(食いしばり)と運動の関係

    クレンチングとは、無意識的に上下の歯を強く噛みしめる動作をいいます。習慣化されたものはブラキ…
  3. 2017-7-6

    鼠径部痛と内転筋損傷と恥骨炎

    鼠径部痛はスポーツ選手がよく訴える痛みの1つです。これらの痛みを訴える選手は、内転筋群の過緊…
  4. 2017-6-24

    筋肥大とパフォーマンスのジレンマ

    アスリートの肉体改造は、高いパフォーマンス性を生み出しますが、時として「あれは失敗だった」と言われる…
  5. 2017-6-15

    腋窩陥凹はハンモックのように

    肩甲上腕関節の関節包靱帯は複雑なコラーゲン線維の交わりあった束から構成され、それぞれ上・中・下の3つ…

FACEBOOKもチェック!

注目TOPIC

  1. 2016-1-16

    中枢神経系と内部モデル

    これまでのさまざまな神経活動の研究から、中枢神経系にはさまざまな感覚受容器配列と対応する内的表現、す…
  2. 2017-1-5

    正しい姿勢で動く

    正しい姿勢が良いというのはよく言われます。人が地球上で活動するにあたって重力を切り離して考え…
  3. 2016-2-9

    呼吸調整中枢とその機能

    呼吸は日常の活動に常に随伴して行われます。つまり、呼吸は多くの運動活動と調和する必要がありま…
  4. 2017-4-8

    習熟が必要なフリーウエイト

    フリーウエイトは、ウエイトの動きをコントロールしなければならず、また体を安定させつつ力を発揮する必要…
  5. 2017-3-19

    ストレッチングによる柔軟性向上の短期および長期効果

    ストレッチングの効果に関して、システマティックレビューがいくつも行われており、短期的あるいは長期的な…
ページ上部へ戻る