バランス能力と姿勢制御戦略

バランス能力に必要な条件は、支持基底面内に重心を溜め、支持基底面から外れた重心の位置を素早く戻す能力です。

支持基底面内重心を留めるという観点からは、身体の動揺が小さいほうが姿勢は安定し、立位時に静止状態を保持できる静的バランス能力に優れていると考えられます。

しかし、疾病によってはスポーツ選手に比べても重心動揺が小さい場合があり、これらの症例は逆に重心を大きく移動させると元に戻ることができず転倒してしまいます。

つまりバランス能力の優劣は、重心動揺が小さく安定していることだけで決まるのではなく、支持された動作に対して重心の位置が支持基底面から外れても、すばやく戻すことができる動的バランスも重要になります。

立位時に外乱が加えられたとき、外乱の大きさに応じた姿勢制御戦略を用いてバランスを立て直そうとします。

この姿勢制御戦略には3種類あると考えられており、外乱が小さい場合は足関節戦略で対応し、外乱が大きくなるに従って股関節戦略、ステッピング戦略が働きます。

これらの運動戦略は1つだけを選択して対応しているわけではなく、足関節戦略と股関節戦略の混合型の戦略があることが示されています。

また、高齢者は成人と比べて足関節戦略よりも股関節戦略を用いる傾向がありこれらの姿勢運動戦略の特徴を踏まえてバランスエクササイズに応用することが求められます。

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