バランス能力と姿勢制御戦略

バランス能力に必要な条件は、支持基底面内に重心を溜め、支持基底面から外れた重心の位置を素早く戻す能力です。

支持基底面内重心を留めるという観点からは、身体の動揺が小さいほうが姿勢は安定し、立位時に静止状態を保持できる静的バランス能力に優れていると考えられます。

しかし、疾病によってはスポーツ選手に比べても重心動揺が小さい場合があり、これらの症例は逆に重心を大きく移動させると元に戻ることができず転倒してしまいます。

つまりバランス能力の優劣は、重心動揺が小さく安定していることだけで決まるのではなく、支持された動作に対して重心の位置が支持基底面から外れても、すばやく戻すことができる動的バランスも重要になります。

立位時に外乱が加えられたとき、外乱の大きさに応じた姿勢制御戦略を用いてバランスを立て直そうとします。

この姿勢制御戦略には3種類あると考えられており、外乱が小さい場合は足関節戦略で対応し、外乱が大きくなるに従って股関節戦略、ステッピング戦略が働きます。

これらの運動戦略は1つだけを選択して対応しているわけではなく、足関節戦略と股関節戦略の混合型の戦略があることが示されています。

また、高齢者は成人と比べて足関節戦略よりも股関節戦略を用いる傾向がありこれらの姿勢運動戦略の特徴を踏まえてバランスエクササイズに応用することが求められます。

関連記事

コメントは利用できません。

ピックアップ記事

  1. 2017-9-22

    リュックサックによる腰椎への圧縮軽減

    リュックサックはバッグとしての優れた役割もさることながら、腰椎への負荷軽減ギアとしても効果を発揮しま…
  2. 2017-9-5

    筋線維の形態的特徴について

    筋の形態は、張力発生能力、可動域、短縮速度に著しい影響を及ぼします。機能に影響を及ぼす形態的…
  3. 2017-8-11

    アフォーダンスとカノニカルニューロン

    随意的な動作は、中枢で生じた運動の意図が顕在化したものであり、「目的」はそれを達成するための筋道を決…
  4. 2017-7-19

    筋の拮抗的・共同的中和

    運動を円滑に遂行するために骨格筋はそれぞれ主動作筋、共同筋、拮抗筋と役割を持ちます。一般には…
  5. 2017-7-18

    クレンチング(食いしばり)と運動の関係

    クレンチングとは、無意識的に上下の歯を強く噛みしめる動作をいいます。習慣化されたものはブラキ…

FACEBOOKもチェック!

注目TOPIC

  1. 2016-5-11

    筋線維の壊死と再生

    筋線維の壊死は、細胞膜の破壊から始まります。このとき、細胞膜を裏打ちしているジストロフィンと…
  2. 2015-6-6

    タメになる「豆」知識

    体型を気にしている女性やダイエットをしている女性は「ナッツ(豆)は美容効果やダイエットに良い」と聞い…
  3. 2015-8-30

    歩行の神経機構

    歩行は、直立姿勢の維持、バランス保持、足踏み運動の3つの基本的機能が有機的に組織化されることで成り立…
  4. 2016-2-24

    横突棘筋の解剖

    横突棘筋とは、半棘筋、多裂筋、回旋筋の総称で、脊柱の最深層に位置する筋です。半棘筋は、これら…
  5. 2017-2-6

    体を正しく動かすために

    トレーニングやスポーツ競技を行ううえで炎症が起こることがあります。野球でヒジや肩などの障害は…
ページ上部へ戻る