カラダの大きな力を出せないしくみ

スポーツや生活の中では大きな力を出すことが必要な場面がたくさんあります。

そんな時にきちんと大きな力を出せるようにすることがトレーニングの目的です。

しかし、一方で人間の身体にはあえて大きな力を出させないようにする仕組みもあるのです。

それは大きな力を出し過ぎることによって身体の組織が傷つくことを防ぐという目的があるからです。

筋肉はその端にある腱という組織で関節をまたいで骨につながっています。

筋肉で発生した力は腱によって骨につたわります。

筋肉が力を発揮して縮もうとすると、関節は筋肉の縮もうとする方向にその角度を変えようとしますが、もしその動きに抵抗して関節を逆に動かそうとする力が加わると、筋肉が縮もうとする力を発揮しても関節はすぐには動きません。

このように、筋肉が縮もうとしても関節が動かないときや、筋肉が大きな力を発揮しているのに逆に引き伸ばされていってしまうとき、つまりアイソメトリックやエキセントニック筋活動のとき、筋肉が縮もうとする一方で筋肉の両端の腱には引き伸ばされるような力が加わります。

すると、それ以上に筋肉が縮もうとすることは腱にとってかなり危険です。

切れてしまうかもしれません。

そんな時、腱の中にあるゴルジ腱器官という感覚器官から信号が出て、その腱が傷つくかもしれないという情報が脊髄に伝えられます。

危険信号が入ってきた脊髄では縮もうとしている筋肉につながる運動神経細胞に対してもうそれ以上大きな力を発揮したらダメだ、力を弱めなさいという信号を送ります。

その結果、運動神経細胞からの筋肉に対する指令が弱まり、力の発揮も弱くなります。

この仕組は、筋肉や腱を守るために備わっているゴルジ腱反射と呼ばれる反射です。

ケガをしないためには大切ですが、このような反射が常に働くと、いつまでたっても大きな力を発揮することはできません。

その意味では、この反射が働かないようにすることも必要になります。

繰り返して徐々に負荷をかけていくことによって身体を慣らしていくのが必要なのです。

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