仙腸関節と荷重応力

仙腸関節の運動は、運動量が小さいものの、骨盤輪内の全体の荷重応力の軽減に寄与する重要な要素です。

この応力の軽減は、歩行中やランニング中、女性では出産時に特に重要です。

歩行中、両下肢が交互に屈曲と伸展を繰り返すことで、普通の歩行速度では、前に踏み出した足の踵接地時に、反対側の足指はまだ地面から離れていません。

この時点で、股関節筋と靭帯の張力によって、左右の腸骨稜に反対方向のねじれモーメントが発生します。

このねじれは、前屈・後屈運動として矢状面で顕著ですが、水平面でも生じます。

歩行速度が増加するのに合わせて、骨盤内のねじれが一層強まります。

歩行中の左右の仙腸関節の運動は軽微ですが、骨盤輪が硬い連続構造であったら発生するであろう応力を分散するために役立ちます。

恥骨結合も骨盤輪全体で応力を緩和するのに同様の働きをしています。

陣痛時や分娩中あ仙腸関節の可動性は増加します。

3ヶ月以内に出産を控えた妊婦では、この関節が著しく弛緩します。

特に、初産時に比べて2回目の出産前のほうが関節の弛緩が顕著になります。

出産時には前屈可動性が高まるため、仙骨の下部が後方に回転し、骨盤出口部が広がって、新生児が通りやすくなります。

女性では、仙腸関節の関節面が男性よりも滑らかなため、生理的運動に対する抵抗力は低くなります。

妊娠中の女性では、仙腸関節痛を経験することが多いですが、妊娠中には体重が増加し、腰椎前彎が増大し、ホルモンにより靭帯のゆるみが生じることが、仙腸関節や周囲の関節包にストレスを与えるのでしょう。

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