ムーブメントスキルを考える上で大切な3つの概念

傷害予防やパフーマンス向上のを達成するためには、ムーブメントスキルの向上が不可欠です。

ムーブメントスキルをトレーニングすると、基本的運動である重心移動と末端加速の能力が高められます。
これらを競技スキルにつなげていくとよりパワフルになり、より継続的に力を発揮できるようになります。

このムーブメントスキルを考える上で大切な概念が3つあります。
それは、「構造強度」「適切なベクトル」「地面反力」の3つです。

まず、「構造強度」を考えていきます。
これは建物で考えると、高い建物が大きな地震から倒れないためには、建物全体や部分的なパーツのそれぞれの役割をみたし、強度を保ち続けることが必要になります。

ひとの身体も同じように、内や外から力を受けてもケガせずに保ち続けることが大切で、また形を保てることによって受けた力を効率的に運動に利用することができるのです。

身体の強度なのですが、身体のパーツは、骨・靭帯・腱・筋・関節包などさまざまあります。
そのパーツそのものの強度とそれらから構成される関節の強度も重要です。
関節の強度とは、関節を構成する骨や軟部組織などの強度と、関節を正しく扱うことができるのかという身体スキルも含まれます。
関節の可動域から外れてしまうとケガにつながるため、正しい関節の動きを維持しながら動作ができるかということも大切になるのです。

次の「適切なベクトル」なのですが、これは力の利用を考えるものです。

これを考える上でのキーワードとして、「セグメントの運動」「関節の機能」「力の作用」があります。
セグメントとは、骨を中心とした変形しない部分のことをいいます。
この変形しないセグメントとセグメントをつないでいるのが関節です。

関節がセグメントの動き、つまり運動に大きな役割をはたしているのです。
1つのセグメントに力が働くと、関節を介して隣接するほかのセグメントに力が加わります。
それが連鎖することによって運動を行うのですが、動作を巧く行うためにはこれらの連鎖を最適化することが必要であり、関節の可動する機能だけでなく、固定させるという機能も使いながら効果的な運動につなげることが必要なのです。

最後の「地面反力」なのですが、これは地面に加えた力に対する反作用のことです。

たとえば、走るという動作を考えた場合、速く走るためには地面を強く蹴ることが必要になります。
このように大きな力を利用する場合、ある対象(ここでは地面)に加えた力の反作用を利用すると大きな力が発揮できるのです。

より大きな地面反力を使うと大きな力が発揮できるのですが、一方で身体に大きな負担をかけてしまいます。
そのため、大きな地面反力をつかえる状態、つまり「構造強度」「適切なベクトル」の能力を上げることが大きな力の発揮には必要になります。

トレーニングにおいて、この3つの観点から評価し、これらを循環させながらトレーニングすることがムーブメントスキルの向上には大切なのです。

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