歩行と腕振りの関係

人は歩くとき、意識的にも無意識的にも腕を振ります。

これは体幹が回旋運動に対して抵抗するのに役立っています。

この動きは、意識的に振られても、無意識的に振られても同じことです。

1950年代までは、歩行時の腕の振りは、他動的な振り子運動であるという説と積極的に筋活動を起こした結果であるという説がありました。

これらを検証した研究では、歩行時の腕の振りは、前方に20°、後方に9°で、前方から後方への振りでは、肩関節の伸筋および外転筋が活動し、後方から前方への振りでは肩関節屈筋には活動はありませんでした。

腕の前後方向への交互振りでは、三角筋中部および棘上筋が外転に役立っており、僧帽筋が肩の挙上に役立っています。

しかし、これらの筋群は持続的に活動しながらも、腕の振りが方向を変えるときには沈黙期が現れます。

腕を他動的に振った歩行では、運動域が30°以内で筋活動は三角筋後部だけであり、歩行時に観察される腕の振りは単なる他動運動によるものではないことが分かります。

腕を体幹に縛り付けても、広背筋や大円筋に歩行周期と相関した筋活動がみられたことから、腕を振ることの機能は、体幹の回旋に対する回転モーメントを生み出すことにあることが分かります。

そしてその運動は、中枢神経系に組み込まれた機能であるとされています。

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