慢性労作性コンパートメント症候群

コンパートメント症候群とは、コンパートメント内の圧力が局所の動脈圧を超えた状態で発生し、筋や神経の虚血を引き起こす病態です。

これにそれぞれ急性と慢性のコンパートメント症候群が存在します。

急性のコンパートメント症候群は、外傷による脛骨骨折に合併して起こることが多いですが、挫滅損傷、熱傷、薬物の過量投与、運動などによって起こることがあります。

運動に起因するものでは、急性コンパートメント症候群はコンディションの悪い選手が、運動をやりすぎることによって起こることが多いですが、もともと慢性的なコンパートメント症候群を有する選手がより強い強度でより長い時間運動した際にも起こります。

慢性のコンパートメント症候群は、慢性労作性コンパートメント症候群といい、この原因はいまだはっきりしていません。

コンパートメント症候群の特徴であるコンパートメント内の異常な圧上昇が起こる原因は、運動によって起こる筋肥大、筋膜肥厚によるその硬化と弾力性低下、遠心性収縮により筋線維がダメージを受け、その結果タンパク結合イオンが放出され、コンパートメント内の浸透圧が上昇することによるとされます。

コンパートメント内の圧上昇により虚血が起こる原因は、浸透圧の上昇により毛細血管の拡張期圧が上昇し血流が減少すること、動脈の攣縮により動脈血流が減少すること、壁内外圧差による動脈または静脈の虚脱によるとされます。

運動により高確率に誘発される疼痛、鋭利な痛み、鈍痛、つっぱり感であり、これらは30分以内の休息で軽快します。

症状はおおよそ両側であり、ランニングや運動強度の高いスポーツの繰り返しによって起こりやすいとされています。

通常は30歳未満の若い選手に発生します。

関連記事

コメントは利用できません。

ピックアップ記事

  1. 2017-9-22

    リュックサックによる腰椎への圧縮軽減

    リュックサックはバッグとしての優れた役割もさることながら、腰椎への負荷軽減ギアとしても効果を発揮しま…
  2. 2017-9-5

    筋線維の形態的特徴について

    筋の形態は、張力発生能力、可動域、短縮速度に著しい影響を及ぼします。機能に影響を及ぼす形態的…
  3. 2017-8-11

    アフォーダンスとカノニカルニューロン

    随意的な動作は、中枢で生じた運動の意図が顕在化したものであり、「目的」はそれを達成するための筋道を決…
  4. 2017-7-19

    筋の拮抗的・共同的中和

    運動を円滑に遂行するために骨格筋はそれぞれ主動作筋、共同筋、拮抗筋と役割を持ちます。一般には…
  5. 2017-7-18

    クレンチング(食いしばり)と運動の関係

    クレンチングとは、無意識的に上下の歯を強く噛みしめる動作をいいます。習慣化されたものはブラキ…

FACEBOOKもチェック!

注目TOPIC

  1. 2016-2-21

    卵円孔開存と片頭痛

    心臓は4つの部屋からなっており、まず縦の壁である心房中隔と心室中隔によって完全に左右に分けられます。…
  2. 2015-9-1

    コンパートメント症候群の急性症状と慢性症状

    コンパートメント症候群は、コンパートメント内の圧力が局所の動脈圧を超えた状態で発生し、筋および神経の…
  3. 2014-11-17

    椎間板ヘルニアの保存療法

    腰椎椎間板ヘルニアはアスリートに発生する腰痛の原因としてしばしば問題となっている。治療方法は…
  4. 2015-5-15

    筋細胞内の刺激伝達たんぱく質「エムトア」

    骨格筋が緩やかに減少していくことは高齢者の筋発揮能を考える上で非常に重要である。加齢に伴う骨格筋…
  5. 2016-4-4

    手の開き(指の伸展)と筋の協調

    手の開きは、つかみの準備のために行われます。MPとIP関節を通る指の完全伸展に対する最大の抵…
ページ上部へ戻る