カロリー制限と加齢

全ての生物にとって、生命を維持するために最低限の食物が供給される必要があります。

しかし、適切量以上の食物摂取に伴って寿命が短縮することは、げっ歯類や哺乳類の研究において明らかにされています。

研究者によれば、基礎的な代謝要求より過剰なカロリー摂取は、活性酸素の供給源となると考えられています。

寿命に対するカロリー摂取量の影響は、自由な餌の摂取を行ったマウスに明らかに認められます。

餌を自由に摂取したマウスは体重が約50gであり、約30ヶ月生存しましたが、対してカロリー摂取量を1週間に40kcalに制限したマウスは、体重はわずか20gでしたが約50ヶ月生存しました。

研究に用いられるマウスの平均寿命が約30ヶ月程度であることから、これは劇的な違いであると考えられます。

この結果は、通常の生理的プロセスを維持するためには十分なカロリー量の摂取が必要ですが、過剰なカロリー摂取は活性酸素の発生源となり組織の損傷を引き起こすため、多すぎてはいけないということを示すものとなります。

遺伝子発現解析を用いた研究では、5ヶ月の成熟マウスと30ヶ月の高齢マウスの間で6000を越える遺伝子を比較したところ、わずか0.9%の遺伝子の発現が2倍以上の増加を示し、わずか0.9%の遺伝子の発現が2倍以上減少していることがわかりました。

加齢とともに増加する遺伝子のほとんどは、損傷したタンパク質を破壊し修復するのを助けるタンパク質で、DNA修復タンパク質またはタンパク質分解酵素のようなストレス反応の伝達物質です。

また、加齢とともに発現が低下する遺伝子の多くは、解糖、ATP合成、糖代謝などのエネルギー代謝に関連するものでした。

これに加えて、カロリー制限を導入した高齢マウスと対照群(高齢マウス)とで遺伝子発現を比較したところ、加齢により大きな変化を示した遺伝子のうち、84%が完全または部分的に抑制することが分かりました。

このことにより、カロリー制限はその他の代謝遺伝子や合成遺伝子発現を促進し、DNA修復やストレス遺伝子の発現を抑制したということが分かりました。

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