階段昇段時の筋活動パターン

段差の連続である階段を昇降する場合と、平地からひとつの段差を挙げる場合とでは、下肢の運動は異なります。

段差の高さや奥行き、勾配などの次元、年齢や性別、身長や体重のような個人特性も、階段昇降における下肢関節の運動域に影響します。

階段の登りは、大腿四頭筋と下腿三頭筋の求心性収縮によって、身体を引き上げ、また押し上げる動作が主たる動作となります。

階段の下りは、同じ筋群の遠心性収縮によって行われ、重力による運動に抗した動作となっています。

平均的な勾配、蹴上(高さ)、奥行きをもつ階段を登るときの下肢の筋電図活動を調べた研究では、右足底が一段目に接地するとき、股関節と膝関節は屈曲位、足関節は底屈位になります。

立脚中期に移行するにつれて、股関節と膝関節は伸展し、足関節はわずかに背屈します。

この間、股関節と膝関節に加わる外部からのモーメントは、両関節は屈曲させるように働いています。

中殿筋は、引き上げ相の初期に最大活動を示し、身体を支持脚へ引き寄せる働きをします。

膝伸筋は、足底接地から立脚中期まで活動し、屈曲モーメントに抗して、膝関節を伸展しています。

立脚相後半の膝伸筋の活動は、姿勢の保持が主な役割となります。

足関節では、モーメントの作用と実際の運動はいずれも背屈であり、足底屈筋の遠心性収縮によって運動が調節されています。

対側肢が遊脚中期になるころ、前上方への身体の移動は終わり、前方移動だけが起こります。

立脚中期からつま先離地にかけて、股関節と膝関節の伸展および足関節の底屈が続きます。

この時期には、重心線が足部前方に移り、股関節屈曲へのモーメントは少なくなり、膝関節へのモーメントは伸展に作用するようになります。

遊脚相における下肢の運動は、足部を上段に運ぶだけでなく、足部が段にぶつかることなく、昇段をクリアする役割を果たしています。

遊脚相の下肢が前上方に移動するのは、股関節の屈曲と対側支持脚が身体を前上方へ動かす運動によってできています。

はじめに前脛骨筋の活動によってつま先離地が起こり、つづいて膝関節の屈曲によって、下腿は上後方に引き上げられます。

つま先離地の直前には、ハムストリングスが活動して、膝関節は屈曲を始めます。

遊脚中期以降に、膝関節は最大屈曲位となり、足関節への背屈モーメントは、つま先離地の直前に最大となります。

つま先離地の直前に始まった前脛骨筋の活動は、遊脚中期まで続きます。

遊脚中期から次の段に足底接地するまで、股関節と膝関節は最大屈曲位から伸展運動へと切り替わります。

足関節は、最大背屈位から底屈運動を開始します。

遊脚中期から足底接地までは筋活動は少なくなります。

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