肘関節の屈曲と伸展の考察

肘の屈曲により、引っ張る、持ち上げる、摂食する、身づくろいをするなどいくつかの重要な生理学的機能が可能になります。

たとえば、摂食するときに自動的に手を口にもっていくことが不可能となれば、自立レベルは著しく制限されることになります。

C5以上の脊髄損傷を受けた人では肘屈筋の完全麻痺によってこの重度な障害が出現します。

肘伸展は、投げる、押す、リーチの各動作に不可欠な動作となります。

肘の屈曲拘縮による肘の完全伸展の制限は肘屈筋群の著名な短縮によって生じます。

屈曲し短縮位での長期間の不動状態後にこの筋群は異常に短縮します。

この長期間の屈曲は、骨折後のギプス固定や外傷性異所性骨化、骨棘形成、肘関節炎や浸出液による腫脹、肘屈筋群の痙性、三頭筋麻痺、肘前面の皮膚の瘢痕の結果として生じます。

これら屈筋群の短縮のほかに前関節包や内側側副靭帯前部線維束の短縮が原因で起こることもあります。

他動運動での最大可動域は、5°過伸展から145°屈曲まで可能です。

研究によると、日常生活活動では通常、30°〜130°の限定された可動範囲のみが利用されることが判明しています。

膝のような下肢の関節と異なり、肘で最終域付近での可動性喪失が起こってもその結果生じる機能障害は最小限度にとどまることが多いと言われています。

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