運動の協調と身体の結合

運動速度が増すと、神経系が制御しなければならない要素、すなわち他の身体部位の不要な加速度が加わります。

身体部位は連結しているため、1つの部位の運動は、別の部位の動きを引き起こします。

例えばランニング時、遊脚相の最初に、股関節屈筋が活動し、大腿が前方に加速します。

大腿のこの動きは、下腿が後方に回転するとき、大腿四頭筋は伸張性収縮を行うことになり、これが遊脚相の中間では下腿を前へ回転する短縮性収縮に変化します。

2つ以上の関節にまたがる筋は、身体部位間の運動に依存した相互作用の制御に用いられる場合があります。

ランニング時、遊脚相の最後には膝屈筋が活動し、大腿と下腿がどちらも後方に加速します。

大腿を後方に加速するために、膝屈筋の代わりに股関節伸筋が用いられたとすると、下腿が前方に加速し、足を接地するために不必要なこの動きを制御するため、膝関節屈筋が活動しなければなりません。

二関節筋である膝屈筋を使うことはより効率の良い戦略ですが、短距離走のような速い運動では、膝屈筋に強い負荷をかけることになります。

このような運動に依存した相互作用の制御は、多くの場合、筋硬度を最大限にして長さ変化への抵抗性が最大となるよう、伸張性収縮が用いられます。

2つの理由から、大部分の運動で、神経系は特定の身体部位間を強固に結合する必要があります。

第1にニュートンの作用、反作用の法則に記述されるように、反作用は1つの身体部位の加速に対する基盤を提供することです。

例えば、直立状態のヒトがある到達運動を行うとき、地面は必ず足に対して反作用を与えます。

腕の運動を引き起こす筋の動きは、体幹を通って足に伝えられ、これが地面に抵抗されます。

発揮される反作用力は物質によって異なるため、氷や砂といった足場は運動能力を大きく変えます。

第2に、不確実な状況に対する適応は、反対方向への力を発生する筋を同時に収縮し、関節を固定することで行われることが多い、ということです。

拮抗する筋の同時活動は、支持面が不安定であったり、身体が予期せぬ動揺を受ける可能性がある場合、あるいは重量物を持ち上げる時に起こります。

同時収縮はある課題遂行に要するエネルギーを増加させるため、ある課題を、関連した関節をまたぐ筋の活動を最小限で遂行することは、熟練した動きの特徴の1つとなります。

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