糖尿病と運動療法

I型糖尿病患者は、慢性合併症がなく血糖コントロールが良好であれば、ほとんどの種類やレベルのスポーツやエクササイズが可能です。

しかし、スキューバダイビングなど、予測できない事態が起こったり、バディシステムに依存しているものは不適当であると言えます。

糖尿病患者が運動プログラムを開始する際には、事前に十分な検査を行うことが重要です。

足部に加え心血管系、眼科系、神経系にも注意しなければなりません。

35歳以上か、または病歴が15年以上の糖尿病患者は、潜在性、無症候性の冠動脈疾患を除外するために安静時または運動負荷心電図を測定することが望ましいと言われています。

運動プログラムを開始する際には、安全に運動を行うために、定期的な血糖測定とそれに合わせたプログラムの調節が不可欠となります。

低血糖は、運動中と運動後14時間後までに起こる代表的な合併症であり、本人と運動のパートナーの両方はが、よく認識しておかなければなりません。

低血糖症状の一般的な特徴は、カテコールアミン放出と中枢神経障害の両方による二次的な症状や徴候となります。

発汗や震え、不安、動悸、衰弱、振戦、空腹、失神、頻脈などはすべてカテコールアミン放出により起こりうるものです、

錯乱、被刺激性、頭痛、異常行動、衰弱、複視、不適切な情動、協調運動不能、痙攣、昏睡などは中枢神経障害により起こります。

運動前の血糖値をもとにして、インスリン治療の方式と炭水化物摂取量を調節することにより、高血糖と低血糖の両方の危険を最小限にすることができます。

運動中や運動後の、糖を含んだ飲料による水分補給と炭水化物の多い食物の摂取により、運動中や運動後、夜間の低血糖を防止できるといわれ、運動前にGI値の低い食事をとり、運動中にGI値の高い食事をとることで、糖尿病患者の血糖値を最適化できることもわかっています。

運動前後に5〜10分間、低強度のウォームアップ、ウォームダウンを行い、心血管系、代謝系、筋骨格系を徐々に準備することが大切です。

II型糖尿病患者の場合は、運動誘発性低血糖の危険は少なく、もし食事療法のみでコントロールされているならば、運動前の食事の調節でまかなえるかもしれず、内服薬を内服している場合は、内服の中止もしくは減量、タイミングを変えるなどが必要なことがあります。

II型糖尿病患者は、週に3〜5回、低から中等度の強度の運動を行うことが望ましいとされています。

関連記事

コメントは利用できません。

ピックアップ記事

  1. 2017-9-22

    リュックサックによる腰椎への圧縮軽減

    リュックサックはバッグとしての優れた役割もさることながら、腰椎への負荷軽減ギアとしても効果を発揮しま…
  2. 2017-9-5

    筋線維の形態的特徴について

    筋の形態は、張力発生能力、可動域、短縮速度に著しい影響を及ぼします。機能に影響を及ぼす形態的…
  3. 2017-7-19

    筋の拮抗的・共同的中和

    運動を円滑に遂行するために骨格筋はそれぞれ主動作筋、共同筋、拮抗筋と役割を持ちます。一般には…
  4. 2017-7-6

    鼠径部痛と内転筋損傷と恥骨炎

    鼠径部痛はスポーツ選手がよく訴える痛みの1つです。これらの痛みを訴える選手は、内転筋群の過緊…
  5. 2017-6-24

    筋肥大とパフォーマンスのジレンマ

    アスリートの肉体改造は、高いパフォーマンス性を生み出しますが、時として「あれは失敗だった」と言われる…

FACEBOOKもチェック!

注目TOPIC

  1. 2015-1-30

    1億画素の網膜

    眼はものをみるとき、光を受け取っています。外からの光は、瞳孔の縮小と散大によって調節され網膜…
  2. 2016-3-31

    共感覚(synesthesia)とは

    共感覚(synesthesia)とは、通常ある種の刺激で起こる感覚を、別の感覚刺激で起こす現象です。…
  3. 2016-2-1

    足関節外側靭帯損傷

    足関節外側靭帯損傷は、スポーツ活動やトレーニング中の発生頻度が最も高いスポーツ傷害で、すべてのスポー…
  4. 2015-4-25

    股関節のアライメント異状

    股関節は深い関節窩を持つ臼関節です。回転運動に関しては大きな可動性があるのに対して、並進運動につ…
  5. 2014-11-28

    エネルギー不足時の糖代謝

    エネルギー不足時には、肝臓でグリコーゲンを分解したり、筋肉から放出されるアミノ酸から糖新生をして、グ…
ページ上部へ戻る