日常生活におけるあらゆる運動・スポーツはエネルギー源物質であるアデノシン三リン酸(ATP )の高エネルギーリン酸結合部位に貯えられている化学的エネルギーが利用される。

ATP以外に高エネルギーリン酸結合をもった物質にクレアチンリン酸(CP)があるが、その含有量はATPと同様に非常にわずかであるので、長時間の身体活動を行うためには、炭水化物や脂肪などのエネルギー源栄養素の分解によって生成されるエネルギーをATPの再合成のために利用しなければならない。

ATPの再合成機構は無酸素的と有酸素的の2種類に大きく分類することができる。

無酸素的なエネルギー供給系はさらに非乳酸性と乳酸性に2分される。

運動強度が高くなり有酸素系のエネルギ一供給に加えて乳酸性の無酸素系エネルギー供給が高まることにより,骨格筋に貯蔵されている炭水化物がエネルギー源として積極的に利用される。

体内の貯蔵グリコーゲン量は貯蔵脂肪量に比べて非常に少なく、運動時間が長くなると枯渇状態に陥り、高強度の運動を持続できなくなる。

そのため 、持久性運動の前には筋グリコーゲン量を高い水準にしておくことが必要であり、そのために食事から炭水化物を十分摂取しておかなければならない。

長時間にわたる持久性運動のように活動筋が多量のエネルギーを必要とする場合には、脂肪組織から遊離脂肪酸(FFA )がエネルギー源として供給される。

長時間にわたる持久性運動においてはFFAのみならず、骨格筋中の貯蔵脂肪もエネルギー源として重要な役割を果たしていることが最近の研究から明らかになっている。

持久性トレー二ングがエネルギー代謝に及ぼす影響として最も重要なものの一つに、運動中のエネルギー源として ,脂肪への依存度が高まることがあげられる。

この代謝的適応によって、運動中の炭水化物の消費を抑制することができるので「トレーニングによるグリコーゲン節約効果」といわれている。

筋パイオプシー法が開発され、持久性運動による脚筋のグリコーゲン量の減少とその後の再合成の経過について研究された結果、長時間の激運動によって脚筋グリコーゲンを枯渇させると運動後の回復期にグリコーゲンの再合成能が高まり、筋グリコーゲン濃度に過補償(スーパーコンペンセーション=超回復)が生じることが明らかになった。

さらに、食事組成の違いによって生じた脚筋中のグリコーゲン含量の違いが運動持続時間に影響を及ぼすことが明らかになっている。

これらの研究成果を基礎にして、食事と運動を組み合わせることによって筋中のグリコーゲン含量を高め、持久性パフォ一マンスを高めるために開発された技術がグリコーゲンローディングである。

グリコーゲンローディングが競技力向上に有効な競技はマラソン ,クロスカントリースキー,トライアスロンなど2時間以上にわたる持久性種目であり、その他の競技においては極端なグリコーゲンローディングは不必要と考えられる。

日本人選手の日常の食生活を考慮すると、グリコーゲンローディング中の炭水化物摂取は 単糖類 、二糖類 、そしてでんぷん質の多糖類を組み合わせ 特定の炭水化物に片寄らない食事をとることが適当であると思われる。

 

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