運動のイメージと学習

表象は感覚モダリティー別に記憶されていますが、人間をそれを統合して想起できます。

それをイメージとよびます。

人間は、あらゆる対象に対してイメージをもっていますが、自分自身の身体や運動についても例外ではありません。

前者を身体イメージ、後者を運動イメージとよびます。

運動イメージには、視覚的なイメージ(自分が動いている姿を視覚的に想像すること)と体性感覚的なイメージ(動いているときに自分の身体に生じる感覚を想像すること)があります。

後者をイメージしているときの脳の活動部位が実際の運動を実行する場合とはほとんど同じであることから、運動イメージの本質は後者であると考えられます。

最近の脳科学の発展により、脳や運動器の損傷でそれらのイメージが変質を受け、それがさまざまな運動障害の原因になっている可能性が指摘されています。

また、いくら脳の容量が莫大であっても、無限といえる環境情報を表象として記憶し、これまた無限といえる運動反応のパラメータ(使用する筋の種類、収縮強度、タイミング)をすべて記憶することは不可能でしょう。

したがって、認知過程を通した運動の学習は、運動のスキーマ(図式)の形で記憶されていると考えられています。

これは「過去の経験からAという情報に対してはA’という運動パラメータで反応して成功した。またBという情報に対してB’という運動パラメータで反応して成功した。この関係からすれば、まだ経験したことのないCという情報に対してはA-A’、B-B’の関係と同じような関係性をとってC’という運動パラメータで反応すれば成功するだろう」という情報‐運動‐結果の相関性を図式的に記憶しているという考え方となります。

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