スポーツ傷害の中で膝前十字靭帯(ACL)損傷は重篤な外傷であり,受傷後は長期離脱を余儀なくされるため,その予防法が注目されている。

受傷機転は,ジャンプの着地や切り返し動作での接地局面が多い。

発症要因には膝外反角度の増大(knee-in & toe – out),過回内足,股関節外転筋力の低下,性ホルモン動態などが影響していることが明らかにされているが,近年では体幹安定性の重要性が報告されている。

 

ある研究では, ACL 損傷など膝関節外傷を受傷した者は受傷しなかった者よりも体幹安定性が低かったことを報告している。

 

また,ACL 損傷の受傷機転に多いジャンプ着地動作では,足部の接地前に腹横筋が活動し体幹安定性を高めるfeedforward作用が働くことが報告されている。

 

これらの先行研究から,スポーツ現場ではACL 損傷予防に対して体幹安定性を高めるためのトレーニングが盛んに行われている。

 

特に,体幹安定性の制御には体幹深部筋(腹横筋や多裂筋など)を含めた体幹筋の共同収縮が重要であることが明らかにされていることから,体幹筋群の共同収縮を促進させるエクササイズが推奨されている。

 

以上から,体幹筋機能が高い者はACL 損傷の主な受傷肢位でなるknee-in & toe – outを回避できると予測できる。

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