骨格筋の伸張性について

骨格筋の長さ-張力曲線は生体外で骨格筋をさまざまな長さに伸張し、その際の静止張力を測定することで得られ、骨格筋の伸張性を表すパラメータとして用いられます。

筋収縮が起きていない静止状態で骨格筋を伸張していくと、骨格筋は元の長さに戻ろうとするため受動的張力が発生し始めます。

この際の筋長を静止長と呼び、静止長より筋を伸張するとその伸張率に依存して受動的張力は増加します。

そして、この受動的張力は個々の骨格筋によって発生パターンが異なり、伸びにくい、つまり硬い骨格筋の受動的張力は筋長が短いうちから発生し、急激に上昇する傾向を示します。

骨格筋の力学的モデルを用いて受動的張力の発生要素を考えると、収縮要素と直列弾性要素からなる二要素と並列弾性要素を加えた三要素モデルが適応となります。

直列弾性要素としてクロスブリッジ、筋フィラメント、コネクチン、ならびに腱がそれにあたり、並列弾性要素は主に筋線維を包みこむ筋膜がこれにあたります。

ここで、筋収縮が起きていない静止状態を仮定すると、受動的張力は主に並列弾性要素に由来することになります。

具体的には、並列弾性要素は筋膜、すなわち織物のように配列したコラーゲン線維網が受動的張力を生み出し、その量や構造特性が骨格筋全体の伸張性に影響を及ぼすと考えられます。

ただ、直列弾性要素のうちコネクチンは分子構造によるバネ特性を備えていることから、静止状態における受動的張力にも少なからず影響すると考えられています。

一方、弾性要素は単にバネのようなイメージではなく、実際にはすべて粘性要素を伴います。

具体的な例としては、骨格筋を急激に引っ張ると瞬間的に強い抵抗を感じますが、時間とともに緩んでくる現象、さらには骨格筋を一定の力で伸張すると筋長は時間差をもって徐々に伸びてくる現象などがあげられ、これらは速度に比例する粘性要素をよく表しています。

そして、この粘性要素を発揮しているのは筋膜に存在する液体成分、すなわちプロテオグリカンを主成分とする基質と考えられています。

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