前額面での外転と肩甲平面での外転

肩の外転運動といえば通常、前額面での外転を行うのが一般的になります。

しかし、この一般的使用にも関わらず、この運動は全く自然なものとは言えません。

最も自然な外転は、肩甲平面上の外転、つまり前額面から約35°の位置での外転となります。

この外転は、前額面の外転に比べ、上腕骨はより大きく挙上し、さらには肩甲平面での外転には強制的外旋が力学的に伴うことがほとんどありません。

純粋な前額面では、外旋を伴うことのない肩の外転は、困難であり、不可能と言えます。

これは、上腕骨大結節が肩峰下空間の内容物を鳥口肩峰アーチの低位で圧迫する事実に基づきます。

つまり、外転を前額面で完全に遂行するためには、外転に上腕骨の外旋が組み合わさる必要があります。

これにより突出した大結節は肩峰突起下面の後縁をすり抜けます。

これに対して、肩甲平面で最大外転を行うと、肩は外旋することなしに動作を遂行することができます。

肩甲平面での外転では大結節の先端は鳥口肩峰アーチの比較的高い点に位置するため、その結果、インピンジメントは避けられます。

肩甲平面の外転はまた自然に後捻した上腕骨頭をよりまっすぐに関節窩に向け適合させます。

これにより棘上筋の起始と停止は一直線上に並びます。

前額面の外転と肩甲平面の外転との間のこれらの力学的な相違は肩の機能障害を有する人、特に慢性的なインピンジメントが疑われるケースの評価や治療の際、考慮すべき点であると考えられます。

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