十字靭帯の機能的役割

十字靭帯は、起始と停止がきちっと定まった、ほぼ直線状の靭帯であると考えられています。

靭帯の厚さと容量は、その強靭さと比例し、その伸展性に反比例します。

靭帯を構成している1本1本の靭帯線維は天然の小さなバネとみなされます。

十字靭帯の起始や停止となる部位が広範囲に及ぶので、それを構成する1本1本の線維の長さは一様ではありません。

このことは重要な結果を生じます。

すなわち、十字靭帯を構成する線維群は決して同時に作用はしません。

筋線維と同じように靭帯線維に段階的な活動参加が生じ、その結果としてその強靭さや弾力性が左右されます。

十字靭帯構成線維群は、常に互いに平行に存在するのではなく、その起始と付着が一直線になく、空間中で斜めあるいは垂直にあるため、靭帯それ自体しばしば捻れているのが普通です。

このことに加えて、これらの付着部の相対的方向づけが、靭帯が機能する運動の際に変化します。

これによって全体として捉えた場合の靭帯の活動の仕方が決まり、それが修正されるのです。

この靭帯の方向付けの変動は前額面のみで生じるものでなく、3つの運動面で同時に生じるものとなります。

3つの運動面で同時に生じるこの靭帯の方向付けの変動が、膝の前後左右および回旋方向の安定性を担っている複雑でかつ同時に活動する靭帯の作用の精巧を示唆しています。

したがって、十字靭帯のこの性質が、前額面のみならず、他の2つの運動面における大腿骨顆と滑車の形状を決定することになります。

全体的にみると十字靭帯は膝の前後方向の安定性を確実にするとともに、関節面を接触させた状態では膝に蝶番様運動が生じることを可能にしています。

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