寛骨臼とその周辺組織

寛骨臼は大腿骨頭を包み込むように形成されている深い半球状のカップ型のソケットとなります。

寛骨臼縁の約60〜70°は下極に近く不完全な形であり、寛骨臼切痕を形成します。

寛骨臼横靭帯は寛骨臼切痕に張っています。

大腿骨頭は馬蹄形をした月状面でのみ寛骨臼と接します。

月状面の表面は関節軟骨で覆われ、これはドーム状の上前方領域で最も肥厚しています。

軟骨の肥厚部は歩行時最も圧力がかかる部位にほぼ相当します。

歩行時、股関節にかかる力は、遊脚中期には体重の13%ですが、立脚相では体重の300%以上にまで変化します。

立脚時の力が最もかかるときには、寛骨臼切痕がわずかに広がって月状面はわずかに平らとなります。

それによって接触面が広がり最大圧力を減少させます。

この自然な緩衝メカニズムによって、軟骨下骨上の応力は生理的耐久レベル内でおさまっています。

歩行時の寛骨臼にかかる力はまた仙腸関節と恥骨結合に伝達されます。

これらの関節の低可動性は股関節への応力を増加させ、過度の摩耗を生じる可能性があります。

寛骨臼窩は寛骨臼底の深い陥凹です。

一般に寛骨臼窩は大腿骨頭と接触しないのでここでは軟骨がありません。

かわりに、寛骨臼窩には大腿骨頭靭帯、脂肪、滑膜、血管が存在します。

寛骨臼唇、または関節唇は寛骨臼周辺を囲む線維軟骨の輪となります。

寛骨臼切痕に隣接して、唇は寛骨臼横靭帯に移行するまで広がります。

関節唇は寛骨臼の縁に沿って付着し、その横断面は三角形となります。

寛骨臼切痕付近で、関節唇は寛骨臼横靭帯に混入します。

関節唇はソケット凹面を深く、骨頭の縁をしっかりと保持し、関節の安定性を増します。

股関節の外傷性脱臼では、通常関節唇が断裂します。

関節唇は大腿骨頭の約30%を包み込むことによって、明らかに股関節の安定性を確保しています。

関節唇によって関節の周りを包み込むことは負の関節内応力が起こり、そのため関節表面の動揺に耐えうる過度な引き込みを作っています。

また、周辺を包み込むことにより滑液を留めます。

そのため、関節唇は間接的に滑らかな動きを高め関節軟骨の機能への負荷を減らします。

直接的に、関節唇は寛骨臼の表面積を増加させ、接触応力を減少させることにより関節軟骨を保護します。

線維軟骨の主な作用を考えると、関節唇は外1/3に対して血液供給を受けるだけで、十分な血管が分布していません。

この理由のため、損傷を受けた関節唇は治癒能力が非常に弱くなっています。

不十分な血管分布とは対照的に、関節唇は固有受容フィードバックを有する求心性神経が豊富であり、関節唇が急性損傷を起こしたとき、痛みを感じます。

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