寒冷療法と血管系

寒冷療法が循環・血管に対する作用には、一次的的血管収縮、二次的血管拡張、血管透過性低下の作用があり、主に炎症の抑制として用いられます。

局所の寒冷刺激により、皮膚の温度受容器が活性化され、皮膚表層の毛細血管が収縮します。

これに続いて、交感神経の働きによって、毛細血管や立毛筋の収縮が見られます。

この現象は、寒冷刺激を施した部位の周辺にも出現します。

血管収縮に伴い血流の抵抗が増大し、さらに血液粘性が高まることから、血流量は減少します。

さらに、冷却された血液が視床下部を刺激して、全身の血管を収縮を引き起こします。

これを一次的血管収縮といいます。

寒冷刺激が長時間にわたると、刺激後に血管拡張を引き起こす現象が起こるといわれていますが、これを寒冷誘発血管拡張といいます。

この現象は、Lewis(1930)によって、乱調反応とそれに続く遅発性の効果を説明する上で紹介された理論です。

乱調反応とは、寒冷刺激を与えている間、体表温度がリズミカルな低下と上昇のパターンを示す現象を指します。

遅発性の二次的血管拡張の効果とは、寒冷刺激後に皮膚温度が上昇傾向を示す現象です。

これらの現象は、冷却された血液が視床下部を刺激することによって、体温低下を防ごうとする生体の防御反応であるといわれています。

しかし、Knightら(1997)は、血流量が寒冷誘発血管拡張によって通常の状態よりも増加することはないと結論づけており、そのメカニズムは十分に解明されていません。

また、寒冷刺激の適用によって皮膚に発赤が認められますが、この要因は、二次的血管拡張によるものではなく、酸素ヘモグロビン解離の低下によって、血中の酸素化ヘモグロビン濃度が高まるためであると考えられています。

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