ダイエットと生理学

ダイエットを考える上で、リバウンドを防ぐにはどうするべきかは非常に悩むところです。
低カロリー、低炭水化物食でダイエットを行うと、体重の減少が速やかに起きます。
そのため、この方法は一見効果的にみえるかもしれませんが、過激なダイエットは体組成のうち水や貯蔵炭水化物の急速な減少を引き起こしますし、貯蔵炭水化物の枯渇は遊離脂肪酸の利用を促進するため、血中のケトン体が多くなりケトーシスとなります。

ケトーシスは食欲抑制にも働きますが、水分の喪失をさらに促進しますし、複食後には食欲が異常に亢進することもみられます。
そして、減量を繰り返すと体重の再増加(リバウンド)は容易に起き、ウエイト・サイクリングあるいは、ヨーヨーダイエットと呼ばれる現象が頻繁に観察されることになります。
このときダイエット中に失った除脂肪量を回復するためには激しい筋力トレーニングでも約1ヶ月以上の期間が必要で、仮に、除脂肪量を回復できなければ体重増加分は脂肪に置き換わってしまいます。

このような減量後の急激な再増加には、

1、 除脂肪量の減少に伴う安静時代謝低下

2、 貯蔵炭水化物の回復に伴う喪失水分の急速な補填

3、 減量による脂肪細胞のリポタンパクリパーゼ(脂肪合成と貯蔵促進の酵素)活性の増加

などが関係していると言われています。
特に肥満の方では、減量によりリポタンパクリパーゼ活性が非常に高くなるとのことです。
現在、リバウンドを防ぐ科学的方法が確立されているわけではないですが、まずは過激なダイエットや「ダイエットからの復食」を繰り返さないことです。
低エネルギー食で減量した後、高エネルギー食に切り替えると当然体重は再増加しますが、高エネルギー食中の炭水化物を3炭糖化合物であるピルビン酸やケトトリオース(ジヒドロキシアセトン)に置き換えると、体脂肪や体重の再増加を効果的に抑えるとのことです。
そして、何よりも正しい生活習慣を継続することがリバウンドを防ぐ上で最も重要なことです。

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