炎症に伴う血管の変化

炎症の4徴候のうち、発赤と発熱は血管径の変化によるものです、

組織の傷害で血管が破損すると、破損した血管を止血するために血小板が凝固する化学反応が始まります。

すると、血小板からセロトニン、血管内皮細胞からエンドセリンが放出され、その作用により血管は一過性に強く収縮します。

すると、数秒間ではありますが、虚血状態に陥ります。

同時に、血清中のカリクレインがキニノーゲンを分解してブラジキニンが産生されます。

そして、ブラジキニンが組織内の肥満細胞を刺激すると、ヒスタミンが放出されます。

ブラジキニンとヒスタミンが作用すると、血管が拡張子、血流の増加が生じます。

そして発赤と発熱の徴候が現れます。

血管が拡張すると、血流速度は緩やかになります。

血管拡張の結果、細動脈・毛細血管・臍静脈の血圧は高くなり、血漿成分を含まない水分が血管から滲み出てきます。

この現象を濾出といいます。

ただし、この現象は直後に起きる血管透過性の変化により隠されてしまいます。

血管が拡張すると、間もなくして血管透過性が亢進します。

炎症の4徴候の1つである腫脹は、血管透過性の亢進によるものです。

血管透過性の亢進は、肥満細胞から放出されたヒスタミン、血液凝固系の反応産物であるブラジキニンの作用によります。

ヒスタミンとブラジキニンが血管内皮細胞に作用すると、血管内皮細胞は収縮します。

前述のとおり、ヒスタミン、ブラジキニンは血管を拡張させ、この状態で血管内皮細胞が収縮すると、血管内皮細胞と隣接の血管内皮細胞が離れ、隙間が生じることになります。

隙間が出現すると、そこからタンパク質に富んだ血漿が滲み出てきます。

この現象を滲出といいます。

滲出の結果、血管周囲の組織は血漿成分を多く含むことになり、浮腫が生じます。

一方、血管内の血液は血漿成分を失い、赤血球と白血球が濃縮されることになります。

その結果、血液の粘性が高まって流れにくくなり、血流速度が低下し、時には血液の流れが完全に止まることもあります。

これは血行静止といい、発赤が持続する原因の1つとなります。

血漿成分の滲出、組織の浮腫が進行すると、組織の体積が増加した肉眼的にも腫れ上がってきます。

これを腫脹といいます。

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