頸部筋系による頭部安定性

頭頸部をまたぐ筋は、頸椎の特に外側部と後部で頸部容量のほとんどを占めます。

これらの筋が強く活動すると、この筋量のおかげで頸部の臓器や血管、椎間板、椎間関節、神経組織が保護されます。

コンタクトスポーツを含むアスリートによってこの筋系を肥大させる手段として抵抗運動またはいわゆる安定化運動がしばしば行われます。

しかし肥大だけが必ずしも頸部の損傷を防止するわけではありません。

たとえば、鞭打ち損傷の生体力学的データによると、差し迫る損傷に対して反応し相当な安定力を生み出すのに要する時間が鞭打ちの時間を上回ることが示唆されています。

この理由から、アスリートは潜在的に有害な状況を予測し、衝撃前に頸部筋系を収縮させる必要があります。

筋収縮のタイミングは、筋の力の程度と同様、頸部を保護するのにも重要となります。

頸部保護に加えて、筋によって産生される力は頭頸部の主要な垂直方向安定源を供給します。

頸部の臨海負荷、すなわち筋による支持を受けていない頸部が折れ曲がる直前に支えることができる最大圧迫負荷は、1.1〜4.1kgであると言われています。

意外なことですが、これは頭の実際の重量よりも少ないものになります。

頭頸部の協調した相互作用は、概して、各椎間連結の即時的な回転軸の近くを通る力を生み出します。

これら複数軸やその近くを通過することによって、その力は各椎体分節を圧迫し、それによって頸椎を折れ曲がることなく安定します。

頭頸部に生じるこのような圧力の大きさは直立時に頭部の適切なバランスに必要な筋の低出力活動中、頭部重量のほぼ3倍であり、筋の最大活動中は頭部重量23倍に上ります。

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