インスリンの過剰と代償機構

インスリン過剰の結果みられる症状は、直接的であれ間接的であれ、すべて神経系に対する低血糖の効果の現れとなります。

一定の間、飢餓状態において個体以外では、脳でかなりの量が消費されている唯一の燃料はグルコースです。

神経組織中の炭水化物予備量は非常に少なく、正常機能はグルコースが絶えず供給されることによって維持されています。

血漿グルコース濃度が下がると、最初に現れる症状は自律神経の興奮に基づく動悸、発汗、神経過敏となります。

なぜなら、これらの徴候の閾値は自律神経活性化の閾値より幾分か超えたところにあるからです。

さらに血漿グルコース濃度が下がると、いわゆる神経組織の糖欠乏症状が現れてきます。

これらの症状は、空腹感、錯乱その他の認知不全などです。

これよりもさらにグルコース濃度が下がると、嗜眠、昏睡、痙攣状態となり最後には死に至ることさえあります。

はっきりしていることは、低血糖症状が現れたときにはすぐにグルコースを投与するかオレンジジュースなどグルコースを含んでいる飲み物を与えるべきことです。

普通は、これらの処置によって症状が劇的に改善されますが、もしも低血糖の程度が重いか持続するのであれば、知的鈍麻から昏睡に至る異常が続くことがあります。

低血糖に対する重要な代償の1つは内因性インスリン分泌が停止することです。

インスリン分泌はグルコース濃度が約80mg/dLになると抑制されます。

さらに、低血糖時はグルカゴン、アドレナリン、成長ホルモン、コルチゾールなどのホルモンの分泌を促します。

アドレナリンの分泌応答は睡眠中は抑制され、グルカゴンとアドレナリンは、グリコーゲン分解を促進させることによって肝臓からのグルコース放出を増大させ、成長ホルモンは種々の末梢組織におけるグルコース利用を抑え、コルチゾールも同様の作用を持っています。

このような拮抗調節の中心はアドレナリンとグルカゴンだと言われています。

血漿アドレナリン濃度が上昇すると血漿グルコース濃度の下降は逆転されますが、アドレナリンとグルカゴンの両方とも上昇しないと、血漿グルコース濃度の代償性上昇は起こりません、

 

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