ショックアブソーバーとしての椎間板

脊柱は、体幹と上半身を支持する主要な構造体です。

例えば、直立姿勢では、2つの隣接する腰椎が支えている負荷の約80%が、椎体間関節を通じて伝えられます。

残る20%は、椎間関節や椎弓板などの後方構造体が担います。

椎間板は、体重や筋収縮によって生じる圧縮応力から骨を保護するショックアブソーバーとして特有な構造をもちます。

圧縮応力は、椎体終板を髄核に向かって押します。

髄核の大部分は水で満たされており、ほぼ圧縮性を示さないため、若く健康な髄核は、圧縮応力に対して、放射状に変形し、繊維輪を外側に押し出す方向に変形することで対応します。

髄核の放射方向のこの変形は、膠原線維とエラスチンからなる線維輪が引き伸ばされて生じる張力によって抵抗を受けます。

椎間板全体の圧力が均一に上昇し、隣接する椎体に均一に伝達されます。

この圧縮応力が椎体終板からなくなくと、引き伸ばされていたエラスチンと膠原線維が、もとの負荷前の長さに戻り、あらたな圧縮応力に対応できるようになります。

この機序によって圧縮応力が、複数の構造に分散して伝わるようになり、そのため、ある1つの組織だけに狭い範囲で高い圧力が加わらないようになっています。

また、粘弾性をもっているため、椎間板は、ゆっくり、または軽い圧縮応力よりも、高速あるいは強い圧縮応力に対してより強い抵抗性を示します。

したがって、椎間板は、軽い負荷に対しては柔軟性が高く、強い負荷に対しては、比較的強い剛性を示すようになります。

生体内の研究において腰椎領域の髄核内にかかる圧力は仰臥位で安静にしているときには、比較的低いことが確認されています。

前屈に体幹の筋が強く収縮する必要性が組み合わさった活動では、椎間板にはるかに高い圧力が生じます。

椎間板内の圧力は、驚くほど高いレベルまで上昇し、健常な椎間板でさえ、形状が一過性に変形する場合もあります。

例えば、腰椎の屈曲を長時間続けると、椎間板から水がゆっくり抜けていき、高さが僅かに低下することがあります。

対照的に、腰椎を長時間伸展させると、椎間板内の圧力が低下します。

このことで、水が椎間板内に再吸収され、それによって本来のレベルにまで再び膨らみます。

関連記事

コメントは利用できません。

ピックアップ記事

  1. 2017-9-5

    筋線維の形態的特徴について

    筋の形態は、張力発生能力、可動域、短縮速度に著しい影響を及ぼします。機能に影響を及ぼす形態的…
  2. 2017-8-11

    アフォーダンスとカノニカルニューロン

    随意的な動作は、中枢で生じた運動の意図が顕在化したものであり、「目的」はそれを達成するための筋道を決…
  3. 2017-7-19

    筋の拮抗的・共同的中和

    運動を円滑に遂行するために骨格筋はそれぞれ主動作筋、共同筋、拮抗筋と役割を持ちます。一般には…
  4. 2017-7-18

    クレンチング(食いしばり)と運動の関係

    クレンチングとは、無意識的に上下の歯を強く噛みしめる動作をいいます。習慣化されたものはブラキ…
  5. 2017-7-6

    鼠径部痛と内転筋損傷と恥骨炎

    鼠径部痛はスポーツ選手がよく訴える痛みの1つです。これらの痛みを訴える選手は、内転筋群の過緊…

FACEBOOKもチェック!

注目TOPIC

  1. 2015-5-23

    AMPK(AMP活性プロテインキナーゼ)とは

    細胞の中ではさまざまな種類の酵素が生きるための仕事を役割分担しながら行っています。AMPKは…
  2. 2017-4-7

    トレーニング休止中の筋肉の変化

    筋力トレーニングを続けてきたのに、病気やケガ、仕事の都合などでトレーニングをやめる、あるいは休んでし…
  3. 2016-3-13

    睡眠欲求の2つのプロセス

    睡眠は概日性の行動であり、すべての種において、睡眠の周期は地球の自転と昼夜周期を知らせる時間の手がか…
  4. 2015-6-28

    運動実施時間によるパフォーマンスの違いについての考察

    被験者に1時間ごとにエアロバイクの全力疾走させ、時間帯によるパフォーマンスの違いをテストしたところ、…
  5. 2014-12-27

    肩こりに効く経穴「肩井」

    慢性的に肩凝りの方、普段は感じないのにパソコン作業が長時間続いたりすると肩が凝る方、今の季節だと寒さ…
ページ上部へ戻る