関節唇が障害されやすいのはなぜか。

関節唇は肩関節の構成要素の中でも、肩の病変に含まれることが多い部位になります。

これには、肩の構造的・機能的要因が関与しています。

まず、関節唇上部が隣接する関節窩周辺にゆるく結合しているのがその第1の理由となります。

二頭筋長頭腱を構成する線維の50%が関節上結節に起始しています。

二頭筋腱内で発生する過剰に大きく反復する力は、関節窩周辺に対して12時の方向からゆるく結合した上部関節唇を部分的に剥離します。

上部関節唇はピッチャーのような投てき競技者では断裂する頻度が高くなりますが、これはこの動作中、二頭筋に生じる力が関係していると推測されます。

投球動作のコッキング相、そして再びフォロースルーの際に筋が急激に腕と前腕の動きを減速するように作用するため、二頭筋長頭は前下関節包とともに強いストレスにさらされます。

このストレスは上部関節唇へ直接伝わります。

二頭筋長頭の近位付着部の弱化により上腕骨頭の前方並進を抑止するこの筋の能力は制限されます。

これらの病態力学は投てき競技者に対して前方不安定性や関連ストレスを生じる素因となります。

いくつかの上部関節唇の損傷メカニズムやその結果として生じる生体力学的変化が報告されています。

関節唇の損傷あるいは剥離は関節窩の前下縁に沿って生じるのが一般的で、正常では関節唇のこの部分は下関節包靱帯の前部線維束と固く結合しています。

前述のごとく、関節包のこの部位での過剰なゆるみや断裂は上腕骨頭の前方脱臼を繰り返す原因となることがあります。

急激に前方並進する上腕骨頭は隣接する前下関節包および関節唇に対して損傷に至る力を及ぼします。

部分的に断裂した関節唇あるいは隣接関節包はより大きな肩甲上腕関節の前方不安定性とこの領域におけるより頻繁なストレスの繰り返しという状況との間で悪循環を形成します。

剥離あるいは断裂した関節唇の保存的療法はうまくいかない場合が多いですが、これは特に肩に力学的に不安定性が存在する場合に顕著となります。

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