横突棘筋の解剖

横突棘筋とは、半棘筋、多裂筋、回旋筋の総称で、脊柱の最深層に位置する筋です。

半棘筋は、これらのなかで最も長くより浅層に、多裂筋は中間に、回旋筋は短くより深層に位置しています。

半棘筋は、胸半棘筋、頸半棘筋、頭半棘筋からなります。

一般的に、各筋または各筋内の主要な筋線維束は6から8椎間連結を越えて走行します。

胸半棘筋は、長い腱によって相互連結した多くの薄い筋束からなり、筋線維はTh6-Th10横突起からC6-Th4棘突起に付着します。

頸半棘筋は胸半棘筋よりも太く、より発達しており、上位胸椎横突起からC2-C5棘突起につきます。

軸椎の突出した棘突起につく筋線維はとくによく発達しており、後頭下筋群にとっての重要な安定装置として役立ちます。

頭半棘筋は板状筋と僧帽筋の深層に存在し、筋はおもに上位胸椎棘突起から起こります。

筋は後頭骨の上項線と下項線の間のかなり広い部分に付着するため、上方では太くなります。

頸・頭半棘筋は頸部後面に存在する筋のなかで最も大きな筋であり、その大きさと筋線維がほぼ垂直に走行することから、頭頸部に全体で35〜40%の伸展トルクをもたらします。

左右の頭半棘筋は、上位頸部の正中線の両側で、太く丸いひも状に容易に触知でき、とくに幼児や成人のやせている人でも明瞭です。

多裂筋は、半棘筋のすぐ深層に位置します。

多裂筋はすべて似た繊維方向と長さをもち、仙骨後面と軸椎の間に存在します。

一般に、個々の多裂筋は1つの椎骨の横突起から起こり、2から4分節上位の椎骨の棘突起に停止します。

多裂筋は腰仙椎部で最も太く発達しており、多裂筋の重なりあう筋線維は棘突起と横突起の間の陥凹した空間の大半を満たします。

多裂筋はすぐれた伸展トルクと脊柱の基盤としての安定性をもたらします。

腰部多裂筋の強大な力は随意的収縮か防御的スパズムのどちらかによるもので、臨床的に過剰前弯をもたらします。

回旋筋は、横突棘筋のなかで最も深層に存在しており、多裂筋のように個々の筋線維の大きな集合からなります。

回旋筋は脊柱全体のいたるところに存在しますが、胸椎部で最も発達しています。

それぞれの線維は椎骨の横突起から1〜2椎間連結上位の椎骨椎弓および棘突起基部につきます。

定義上、短回旋筋は1椎間連結をまたぎ、長回旋筋は2椎間連結をまたぎます。

まとめると、横突棘筋は平均的に脊柱起立筋群よりも少ない椎間連結をまたぎます。

一般に、横突棘筋群のこの特徴は、体軸骨格全体を通した比較的繊細に制御された運動や安定化させる力を生じさせるために設計されたものであることが示唆されます。

 

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