卵円孔開存と片頭痛

心臓は4つの部屋からなっており、まず縦の壁である心房中隔と心室中隔によって完全に左右に分けられます。
さらにそこから心房と心室のふたつに分けられています。
その心房中隔には卵円窩という浅いくぼみがあり、これは胎生期、つまり胎児の頃に存在する卵円孔があった名残となります。
この卵円孔とは、胎生期の左右の心房をつなぐもので、これによって左右の心房は互いに交通しているということになります。
これにより、体循環から右心房に戻った血液の大半は、右心室を経ることなく、卵円孔・左心房・左心室を通って体循環に流れ込みます。

なぜ卵円孔があるのかというと、左の心臓にも血液を送ってポンプとしての訓練をさせるためだと言われています。
胎生期は肺が潰れており、肺循環はまだ活動していないため、卵円孔がないと左の心臓はほとんど血が送られない状態となってしまうからです。
つまりこの卵円孔は、胎児の肺による呼吸作用が始まるとその役割を終えるということが分かります。
そのため、多くのヒトでは成長とともに卵円孔が閉じ、卵円窩となってその名残をとどめるのみとなっています。
しかし、20〜30%のヒトでは生後もいろいろな大きさで閉じずに残っていることがあり、これを卵円孔開存といいます。
この卵円孔開存が片頭痛と関連しているのではないかと言われており、卵円孔の閉鎖術により片頭痛が軽減したという報告もあります。
さらにその片頭痛では、キラキラした光やギザギザした光、いわゆる閃輝暗点が見えるなどの前兆のある頭痛である場合が多いとされており、この前兆を伴う片頭痛が起こる人のうち、卵円孔が開存している人は常人に比べて6倍も多かったという研究データもあります。

このように可能性があるとはいえ、推測の域を出ないものですから、病院で検査をするのが一番でしょう。
ですが、まず疑問に思うというのはすごく良いことではないかと思いますね。

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