臼蓋形成不全と肢位の関係

股関節を横走する関節周囲筋は、股関節の安定性にとって重要です。

実際には、股関節の適合を高める強力な成分を備えている梨状筋、外閉鎖筋、あるいは小殿筋、中殿筋といった、骨盤から起こって転子部につく筋のように大腿骨頸部とおおよそ平行に走る筋によって、大腿骨頭と寛骨臼の結びつきが良好に保たれています。

そのため、これらの筋は股関節の安定筋とよばれています。

これに対して内転筋のような縦走筋は、とくに寛骨臼の屋根が外反しているときには大腿骨頭を寛骨臼の上方へ脱臼させようとします。

先天性股関節脱臼では、臼蓋形成不全が存在しますが、これはX線による骨盤の前後像から容易に認められます。

正常ではY軟骨を通る水平線と寛骨臼の屋根の接線とでなすヒルゲンライナー線の角度(臼蓋角)は新生児で25°、1歳以降は15°となります。

この角度が30°を越えるとき、臼蓋形成不全が存在することになります。

脱臼はY線より上方に骨頭核が転位したり、ウィーベリ角の内反でも確認されます。

臼蓋形成不全が存在すると、内転筋群の働きにより脱臼を起こし、下肢がさらに内転しているときには余計に脱臼しやすくなります。

反対に、内転筋が脱臼を起こす収縮成分は、内転筋が最終的に関節面の適合をよくするようになる最大外転までは、外転の増大とともに低下します。

前額面および水平面における大腿骨頸部の向きは関節の安定性維持に極めて重要となります。

頸部の軸は、骨幹部の軸と120〜125°の角度をなします。

先天性股関節脱臼では、頸体角は140°に達し、内転に際して頸部の軸が正常な位置に比べ、すでに最初から20°内転している外反股をきたしています。

そのため、病的股関節における30°内転は、正常股関節50°内転と一致し、内転は、内転筋による脱臼作用を強めることが知られています。

したがって、外反股は脱臼を助長することになります。

一方、この異常な股関節は外転により安定します。

したがって、先天性股関節脱臼に対する固定療法の肢位としては、最初90°外転を用いています。

水平面では、大腿骨頸部の軸と前額面のなす角度は平均20°となります。

大腿骨頸部の軸と寛骨臼の軸は、直立位で平行とならないため、大腿骨頭の前部は寛骨臼より外側に存在します。

もし、この角度が仮に40°まで増し、大腿骨頸部がより前方へ向くなら、これは大腿骨頸部の前捻とよばれ、骨頭は前方脱臼をいっそう起こしやすくなります。

実際は、頸部軸がはじめから20°前捻しており、骨頭は前方脱臼しがちです。

事実25°の外旋が起こると、正常の頸部の軸は寛骨臼の中に納まっていますが、前捻した頸部の場合はすでに20°外旋しているため、寛骨臼縁にその軸が落ち、大腿骨頭は前方脱臼しやすくなります。

逆にいえば、大腿骨後捻は内旋と同様に安定性を増します。

これは股関節をまっすぐに伸ばした肢位や内旋とともに先天性股関節脱臼の整復の第3の肢位となる理由でもあります。

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