アルツハイマー病とは

アルツハイマー病は中年以降に発症する原因不明で進行性の認知症性疾患で、患者は食事をとったこと自体を忘れるなどのエピソード記憶の障害や、行き慣れた場所で道に迷うなど、場所に対する失見当識、自発性の低下などで周囲に気づかれることが多い疾患です。

次第に認知症の症状が進み、人格の崩壊、失認、失行、失語などの巣症状が明らかとなり、最終的には植物状態となり、感染症などで死亡します。

アメリカでは数百万人の患者がおり、わが国では少なくとも100万人の患者がいると推定されています。

さらに超高齢化社会を迎え、アルツハイマー病患者のますますの増加が懸念されています。

前頭葉や側頭葉の萎縮が特徴的ですが、脳の全体的な萎縮で、Pick病でみられるような極端な葉状萎縮はみられません。

特に側頭葉の海馬の萎縮が強く、多数のニューロンは脱落し、残存するニューロンには神経原線維変化とよばれる異常な線維性の封入体が残存するニューロンにみられたり、ニューロピルには中心にアミロイドの沈着を伴う老人斑が多発します。

近年では、老人斑のアミロイドの分析によって、アルツハイマー病の原因と、発症のメカニズムが解明されつつあります。

それによると、アミロイドはβタンパクとよばれる特殊なタンパク質が重合して不溶性の結晶となって沈着したもので、そのβアミロイドが神経毒性を示し、ニューロンを死滅させ、結果として認知症を引き起こすことがわかってきました。

またβタンパク質は、元来はニューロンの細胞膜に存在する膜タンパク質の一部分であったものが、さまざまな代謝異常によってその前駆膜タンパク質から切り出され、それが多数重合してアミロイドを構成し、その結果、老人斑が生じることが明らかになってきました。

現在、先進国ではこのβアミロイドの沈着を阻止する薬や、さらに沈着したβアミロイドを溶解する薬の開発が進んでおり、こうした薬が実用化されればアルツハイマー病の克服も夢ではなくなるものと期待されています。

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