5つの主要な上行路と侵害刺激情報

侵害受容情報の中枢への伝達は5つの主要な上行路、すなわち脊髄視床路、脊髄網様体路、脊髄中脳路、頸髄視床路、脊髄視床下部路がその主役を担っています。

脊髄視床路は脊髄における最も重要な侵害受容伝達の上行路です。

脊髄視床路は脊髄後角I層とV〜VII層にかけて存在する侵害受容特異的ニューロン、温度感受性ニューロン、広作動域ニューロンの軸索を含みます。

これらの軸索は、起始する脊髄分節内で正中線を超え、前側索の白質を上行し、視床核に終止します。

この経路への電気刺激は痛み感覚を誘導するのに十分であり、逆に前側方脊髄切断術によるこの経路の損傷は、損傷側と反対側の痛み感覚を著しく減弱させます。

次に、脊髄網様体路ですが、これは脊髄VII層およびVIII層の投射ニューロンの軸索を含みます。

この経路は脊髄の前外側四半分を上行し、網様体と視床に終止します。

脊髄視床路と違い、この軸索は正中線を超えません。

脊髄中脳路は、脊髄傍小脳脚路、I層とV層の投射ニューロンの軸索を含みます。

この経路によって伝達される情報は、痛みのなかでも感情的な要素に関わると考えられています。

この経路も脊髄の前外側四半分を上行し、中脳網様体と中脳水道周囲灰白質に投射しています。

また、脊髄中脳路の軸索は脊髄傍小脳脚核にも投射しています。

傍小脳脚核のニューロンは、情動の状態を調節する辺縁系の重要な核である扁桃核に投射しています。

この経路の軸索の多くは前外側四半分よりむしろ側索の側索背部を通っています。

前側方脊髄切断術のような痛みを和らげる外科的手技では、これらの神経軸索の残存が術後の痛みの持続や再発を説明するものかもしれないと考えられます。

つづいて頸髄視床路は、脊髄の上2つの頸部分節の白質側方を通ります。

この経路は脊髄後角III層およびIV層に存在するニューロンらの入力を受けます。

頸髄視床路の軸索のほとんどは正中線を超え、脳幹の内側毛帯を上行し、中脳の核や視床の後外側腹側核および後内側腹側核に終止します。

脊髄後角III層およびIV層の他のニューロンは、その軸索を脊髄後索に直接送り、延髄の楔状束核と薄束核に終止します。

5つ目の脊髄視床下部路は、脊髄後角I層、V層およびVIII層に存在するニューロンの軸索を含みます。

これらの軸索は、視床下部の核へと投射します。

視床下部の核は、神経内分泌および疼痛症候群に伴う心血管系応答の制御に関与する、自律神経性調節の中枢として機能しています。

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