運動発達と中枢の発生

神経系の発生過程と行動形式、行動の変化との対応がいろいろと検討されています。

運動発達に関わる古典的理論は、人間の成熟した運動行動の出現にとって、その基底にある反射を重視していました。

健常児における姿勢や運動の制御の発達の創造は、いろいろな反射の出現とそれらの統合に依存すると想定しました。

これらの理論では、反射の出現や消退は、大脳皮質の成熟を反映するもので、中枢神経系の下位レベルで制御されている反射が抑制され、統合されることを通して、いっそう機能的な姿勢や随意運動が可能になります。

これを反射階層理論と呼んでいます。

発生につれて現れる行動や機能の変化は、中枢神経系に新しく形成された構造や化学物質と関係があるとされています。

発生過程における中枢神経系の解剖学的構造は絶えず変化して、数多くのニューロンやシナプスの形成と消滅の連続といえます。

胎生初期には、ニューロンの過剰増殖があり、1個のシナプスを形成するのに多くのニューロンは争っているかのようにみえます。

あるニューロンがシナプスを形成すると、ほかのニューロンが死滅してしまいます。

感覚系では、刺激がこの過程をある程度まで変容させており、シナプス結合にも似たような過形成と消滅の過程があります。

このような形態的変化を制御する機序は、十分に解明されていません。

末梢神経と筋との結合が完成すると、胎児は刺激がなくても身体運動を行うようになります。

この自発運動がないと、骨関節や筋群の発達に欠陥を生じることもあります。

この時期には刺激-応答による運動も起こります。

胎児期の運動発達で重要とされるのは、抑制現象であるとされています。

つまり、胎児は次第に刺激に応答しなくなり、胎児末期には自発運動も減少します。

生後の運動発達で起こる原始反射の消失や運動技能の獲得にも類似の抑制現象があります。

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