人類の進化と出産

人類は直立歩行の獲得により、さまざまな変化を遂げてきました。

初期人類が体幹部を直立させ、直立二足性を獲得したことから、人類らしさのすべてが生じたと考えられます。

この体幹部の直立が二足歩行を可能にさせた反面、身体構造や機能をそれに適応させて変化させざるを得なくなったと言えます。
骨盤の変化も例外ではありません。

例えば、体幹部の直立により、内臓の重さはそれまでの背側方向から頭尾方向にかかることになりました。

横向きの脊柱にぶら下がっていた内臓は、直立した脊柱に平行にぶら下がることになりました。

それにより、内臓下垂が常態化したのです。

そのため、脱腸や脱肛、立ちくらみや下肢のむくみやうっ血などが、内臓や体液が重力方向へ移動する結果として生じました。

内臓の重さの受け皿である骨盤は、出産口や肛門などの排出孔が開いているため、骨盤底を閉じることができません。

そこで、骨盤は大きく変形しました。

上半分の腸骨上部を広げて内臓の重さを受け止め、下部は下方にすぼまる形に変形したのです。

骨盤変形に伴い、それもで横方向にまっすぐ開いていた産道は、上から押しつぶされることになり、曲がりくねった形になりました。

そのため、胎児は出産する時に回旋運動をしながら産道を降りてこなければならず、また、坐骨で狭められた出産口を出なければなりません。

その結果、人類は難産になりました。

難産の程度は、猿人などの初期人類よりも脳容積がさらに大きくなった原人、そしてさらにもっと大きくなった新人へと、次第に大きくなっていったと想像されます。
そこで人類は、この難産という問題を、二つの方法で解決しました。

一つは、出産時に少しでも出産口を広げるために、骨盤を構成する骨の関節を外して出産口を広げるのです。

骨盤を左右の寛骨が仙骨を挟む構造をしていますが、臨月の妊婦の骨盤では、寛骨と仙骨との間にある耳状関節と、左右の寛骨が合わさっている恥骨結合が外れてくるのです。

もう一つは、胎児が大きくならないうちに産みだしてしまうというやり方です。

これを臨床的な早産と区別して、生理的早産といいます。

こうして、人類はかなり未熟な段階で出産されることになりました。

このように、現在のヒトの常態化された機能・構造はこれまでの人類の進化によるものだと言えます。

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