随意動作と目的の特定性

随意的に運動を開始することは、動物の行動の定義となる特徴のひとつです。

反射的な動作は、多かれ少なかれ、外的あるいは内的な刺激に対する言わば、型にはまった反応です。

随意的な動作は、中枢で生じた運動の意図が顕在化されたものであり、目的(例えば、コーヒーカップに手を伸ばす)がそれを達成するための動作を決定します。

随意運動は、動物が直近の必要性だけでなく将来の必要性を満たすために、外界を探求することを可能にします。

反射的行動とは異なり、随意的な行動では、刺激は反応を決定するわけではなく、そのきっかけをつくるに過ぎません。

そのため、動物は刺激に反応することも、しないこともあります。

同じ刺激を与えても、必要に応じて異なる反応をするかもしれません。

条件が異なれば、同じ刺激に対して接近したり、避けたり、無視したりするでしょう。

霊長類、特にヒトの脳は、大脳皮質が特筆して大きくなっているのが特徴です。

この拡大は、感覚、運動、認知能力の並外れた増大と相関しています。

特に大きくなっているのは、前頭葉の吻側部、すなわち前頭前野と、大脳皮質の後方の2つの領域、すなわち後頭頂葉と下側頭葉の合わせて3つの部分になります。

後頭頂葉と下側頭葉は、異なる種の感覚の情報を統合する連合野で、この統合は、空間や物体の知覚形成に欠かせません。

実際、頭頂葉に損傷を受けた患者は、一般的に空間知覚に障害があり、下側頭葉に損傷を受けた患者は、物体や顔の認識に問題があります。

1970年代よりも前には、頭頂葉の損傷によって空間知覚が障害されるのは、脳内には唯一の外界の内的表現があり、それを符号化する領域が破壊されたからであると考えられていました。

しかし、一連の解剖学研究や機能研究の結果、頭頂葉には、複数の空間表象があり、それぞれの表象が、著しく運動に依存することがわかってきました。

ある研究者は、下側頭葉の個々のニューロンの感覚刺激に対する反応や運動の最中の反応を記録したところ、ほとんどのニューロンが特定の場所の感覚刺激に対して反応し、しばしば複数の感覚刺激(例えば、視覚刺激と体性感覚刺激の両方)に反応することを発見しました。

また、そのほかのニューロンは、動作に伴って発火し、異なる身体部位の動作は、皮質において、同じではありませんが重なっている場所で表現されていました。

このように運動が身体部位に従って整然と表現されていることは、中心後回の体性感覚野の体部位局在とよく似ています。

例えば、下頭頂葉の吻側部のニューロンは口の動きに関連して発火し、中央部は手と腕の動き、そしてより尾側部のニューロンは眼球の動きに関連して発火します。

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