随意行動と自由意思の関係

随意運動と関連付けられる主観的な経験は、受動的に課された運動によって引き起こされる主観的経験と異なります。

それは行為に対する所有の感覚を含むものです。

日常的な経験は、随意行動は意識的な制御の下にあり、意図が行為に先立つという感覚を我々に与えます。

しかし、技能的な随意運動の多くは、最低限の意識的な注意で遂行できます。

例えば、会話をしながら自転車に乗れますし、自動車も運転できます。

行動、意図、随意の感覚、自由意思の関係は、長らく哲学と心理学において議論の対象となってきました。

研究者の一部は、意図と経験は行為に先立つ心理的過程だという主観的経験は、実際には脳の事後的な構築物だと主張します。

この仮説に従えば、脳が運動指令と動いている四肢からのフィードバックを含むその後の感覚性の出来事の間の時間的な関係性を探知する場合には、常に脳は過去を振り返って観察します。

つまり、運動指令がそれらの事象の原因となったこと、したがってその行為は意図されたもので、発端となるのは個人であるというように観察します。

Benjamin Libet らは1980年代初頭に、自発的運動課題を遂行中に脳波の活動を調べることによって、この問題を研究しました。

彼らは被験者に対して、好きなタイミングで手の運動を行い、その運動前に時計に似た視覚的な時間測定器をみて、自身が運動の意図を自覚したのはいつだったのかを報告するよう指示しました。

この実験によると、対象が最初に運動の意図を認識したのは、筋活動開始時のわずか0.2秒前であり、運動の随意的な準備と関連付けられた、両側性の信号である前頭皮質の運動準備電位の開始時から長くて1秒後であったということが分かりました。

これを受けてLibetは、「随意運動の開始へと至る神経過程は、対象が運動の意図の自覚を報告するよりも、はるか以前に開始するのであり、したがって意識や自由意思は、随意行動の制御に関連する初期の過程においてわずかな役割しか担わない」と結論づけました。

Libetの発見は、意図を自覚するタイミングは、後続する脳波の事象、すなわち運動のおよそ0.2秒前に活動する腕の反対側の運動皮質で記録される片側性の準備電位の開始と、より対応していることを示した、他の研究により裏付けられました。

片側性の準備電位は、決定過程の終了と、運動皮質における運動指令の形成開始を反映するものとして一般的に考えられています。

この問題は依然として論争が絶えませんが、これらの研究により、自身が今まさに随意行動を行おうとしているということの意識的自覚は、運動の計画と制御に関連する脳領域における神経活動と時間的に結びついているということが、統一の見解として導かれます。

自分は今にも起こりそうな行為の発端者であり、その行為は自由意思によるものであるという感覚は、運動領域に行為の内容を指示するとされます。

独立した上位の皮質領域における活動ではなく、むしろ運動にかかわる脳領域が神経活動と結びついている可能性がある。

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