運動感覚情報と内部モデル

体性感覚は、内蔵と脳以外の身体組織に存在する受容器の興奮によって生じる感覚のことです。
この体性感覚のうち、主として深部受容器が運動感覚もしくは固有感覚に寄与し、これらの感覚は複数の感覚を包含する意味で使用されています。
それは、関節位置および四肢または体幹の動きなどの感覚 (位置覚・運動覚)、努力感、筋の張力、重量そしてスティフネスなど筋の力に関連した感覚 (力覚)、 筋収縮のタイミングに関する感 覚、姿勢および身体図式の大きさの感覚の4つであるとも報告されています。

運動の感覚信号は、末梢の筋・腱・関節周囲・皮膚などに数多く存在する受容器からの入力だけではなく、同様に中枢からの運動指令入力「efferent copy:遠心性コピー」、「corollary discharge:随伴放電」も考えられます。

「efferent copy」とは、運動制御において運動の指令が運動野に送られるだけでなく、その信号のコピーが感覚領野にかえってくるという考え方です。
このコピーは感覚フィードバックの予測に使われると考えられており、こうした信号は運動の主体の感覚に必要であるとされています。
一方で「corollary discharge」とは、例えば目や頭が動く前に運動系から感覚系にこれから目や頭をどう動かすかを知らせる情報が送られるように、神経系の働きに伴う神経細胞活動を随伴発射あるいは随伴放電(Corollary Discharge)と呼んでいます。

運動学習においては、学習者に対して行為や活動の結果として生じた 『結果の知識 (knowledge of result )』の与え方が重要であると考えられています。
さらに、その「結果」を誘起した動作がどのような様態であったかを学習者が知るためには、身体運動像を内的に構築するための運動感覚情報が必要であり、運動感覚情報は運動制御に対する貢献のみならず身体運動像の構築、いわゆる「内部モデル」の構築を通じた運動学習においても重要であると考えられています。

関連記事

コメントは利用できません。

ピックアップ記事

  1. 2017-9-5

    筋線維の形態的特徴について

    筋の形態は、張力発生能力、可動域、短縮速度に著しい影響を及ぼします。機能に影響を及ぼす形態的…
  2. 2017-8-11

    アフォーダンスとカノニカルニューロン

    随意的な動作は、中枢で生じた運動の意図が顕在化したものであり、「目的」はそれを達成するための筋道を決…
  3. 2017-7-19

    筋の拮抗的・共同的中和

    運動を円滑に遂行するために骨格筋はそれぞれ主動作筋、共同筋、拮抗筋と役割を持ちます。一般には…
  4. 2017-7-18

    クレンチング(食いしばり)と運動の関係

    クレンチングとは、無意識的に上下の歯を強く噛みしめる動作をいいます。習慣化されたものはブラキ…
  5. 2017-7-6

    鼠径部痛と内転筋損傷と恥骨炎

    鼠径部痛はスポーツ選手がよく訴える痛みの1つです。これらの痛みを訴える選手は、内転筋群の過緊…

FACEBOOKもチェック!

注目TOPIC

  1. 2017-1-29

    筋線維の損傷と再生

    筋肉は筋トレで一度壊し、回復させると強くなると言われています。ただし、けがや壊れたというより…
  2. 2014-11-23

    水素水の効能って何?

    水素はこれまでに、潜函痛の発症予防に使われてきたことがあるが基本的には人体には無害で不活性なガスと考…
  3. 2016-2-13

    体重の構成要素

    体重の構成要素には、①脂肪量(脂肪組織および他の組織中に含まれるすべての脂肪)②除脂肪量(水…
  4. 2015-8-11

    筋持久力とエネルギー供給

    持久力とは、運動を持続できる能力のことで、疲労に対する抵抗力とも言えます。筋持久力を決定する…
  5. 2015-8-24

    記憶とシナプス可塑性

    ヒトの脳のニューロンは1000億以上あるとされています。そのそれぞれが数千から数万のシナプス…
ページ上部へ戻る