運動単位の動員と発火頻度

収縮中の筋が発生する張力は、活動する運動単位の数と、運動ニューロンが活動電位を発生させる頻度、すなわち発火頻度に依存します。

筋収縮中の張力は、さらなる運動単位の活性化により増加します。

このとき、運動単位は、発揮する力が最小のものから最大のものへと段階的に動員されます。

運動単位の動員される閾値(動員閾値)とは、収縮中に運動単位が活性化される張力のレベルを意味します。

筋力が減少するときは、最も強い力を発揮する単位から弱い単位へ、逆の順序で活動を停止します。

運動単位が動員される順序は、運動単位のサイズに関係したいくつかの指標と強く相関します。

この指標とは、運動ニューロンの細胞体の大きさ、軸索の直径と伝導速度、筋線維が発揮できる張力の大きさなどです。

運動単位の動員される閾値は、運動ニューロンの膜抵抗に依存し、膜抵抗は膜表面積に反比例するので、ある大きさのシナプス電流は、直径の小さい運動ニューロンに、より大きい膜電位変化を生じさせます。

結果として、運動神経核への興奮性入力の量が変化すると、運動ニューロンのサイズに従って昇順に、閾値に達するレベルの脱分極が生じます。

つまり、最小の運動ニューロンは最初に、最大のものは最後に動員されます。

この効果は、運動ニューロン動員の「サイズの原理」として知られ、Elwood Hennemanにより1957年に確立されました。

サイズの原理は、神経系が運動を制御するための2つの重要な論理的帰結をもたらします。

第1に、運動ニューロン動員の順序は脊髄神経機構で決定され、より高次の脳領域には依存しません。

このことは、脳は特定の運動単位を選択的に活性化できないことを意味します。

第2に、運動単位は疲労しにくいものほど後に動員されます。

したがって、ある課題を行うとき、動員できる運動単位のうち最も疲労しにくいものが最初の力を発生させることになります。

1920年代にEdger Adrianが示唆したように、ある運動神経核が関連する運動単位すべてを動員する筋力は、筋によって異なります。

ある手の筋では、ゆっくり筋収縮を行った場合、すべての運動単位は最大筋力の約60%で動員されます。

上腕二頭筋、三角筋、前脛骨筋では、動員は最大筋力の約85%まで続きます。

しかし運動単位の動員閾値は収縮速度により低下するため、急速な収縮時の1つの筋の大部分の運動単位は、最大筋力の約33%で動員されます。

運動単位動員の上限を超えても、運動ニューロンの発火頻度を変えることにより、筋力をさらに増加させることができます。

動員の上限以下のところでも、活動する運動単位の数を増加させたり、発火頻度を変えることができます。

実際のところでは、上限以下では発火頻度のほうが筋力により大きい影響を与えます。

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