呼吸とその3つの調節システム

呼吸は酸素と二酸化炭素の交換システムです。
酸素は細胞の活動にとって必要なエネルギーになります。
吸った空気は肺胞へと送り込まれ、肺胞まで届いた酸素は血液の中にあるヘモグロビンによってとり込まれ、心臓のポンプを使って血液が送り出され、体内を循環して必要な場所へ酸素を運んでいきます。

酸素を受け取った細胞は、体の中でそれぞれの器官(細胞)を作動させるエネルギーとして酸素を消費します。
そして、細胞代謝で起こった副産物として二酸化炭素が放出されます。
その二酸化炭素は再び血液にとり込まれ、血流を通して吐く息とともに外に放出されていくことになります。

私たちの呼吸は脳の呼吸中枢が必要に応じてコントロールし、ほとんどの場合は無意識に行われています。
この呼吸ですが、調節には3つの調節方法があり、そのうちの一つが「随意性呼吸調整」です。
これは大脳皮質で行われる『行動性調節』で、声を出す、感情の変化などによって、呼吸に変化を起こします。

そして残り2つは不随意性の呼吸調整とよばれ、方法には2つあります。
その一つが『化学的調節』です。
体内にある化学受容体が二酸化炭素の増加や酸素の減少、細胞内のPHの低下などを察知して呼吸を調整します。
ここで無意識に呼吸調整ができているのは、この化学的調節が働いているからです。

もう一つの不随意性の呼吸調整が『神経性調節』です。
細胞内にある『伸展受容体』という部位がかかわっており、伸びをするなどによって肺の周りの組織が刺激され、肺が膨張することにより呼吸に変化が生まれます。
この肺の膨張は神経によってコントロールされており、自律神経の働きがかかわっています。

自律神経系には交感神経と副交感神経があり、交感神経が優位になると身体活動が活性化され、副交感神経が優位になると身体活動を安静化に導きます。
緊張をほどくために「大きく伸びをして深呼吸」することがありますが、体を大きく伸ばし肺の入っている胸郭を伸ばすことにより、神経がその変化を察知し、「肺が膨張したから呼吸を変えますよ、酸素を取り込みますよ」というシグナルを送るのです。
伸びをすることで、私たちは意図的に呼吸を深く吸うことができます。
そうすることで横隔膜が下がり交感神経を刺激し、そのあとに手を下げ息を深く吐くことで横隔膜が上がり肺が押し上げられます。
横隔膜の弛緩による上への動きは副交感神経を優位にし、心拍数を下げ気持ちを落ち着かせることにつながります。
こう考えると、私たちは「呼吸」を通して「自律神経」を操作しているとも考えられます。

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