関節運動の傾向とその不変性

運動の遂行において、課題が与えられるだけでは、運動計画を絞り込むことはできません。

例えば、手は目標まで動かすとき、考えられる経路は無限にあり、それぞれの経路についての無数の軌道があります。

経路と速度を決めても、経路上の各点に到達するための腕の関節角の組み合わせはいくらでもありますし、筋の働きの重複や共収縮があるため、それぞれの腕の姿勢を表現する筋の活動の組み合わせも多数あります。

脳が運動の持続時間を決定する仕組みは、運動に関する最も初期の研究により検討されました。

フィッツの法則は、運動の大きさと正確さと持続時間の関係を記述したものですが、この法則は、それが目標の幅と運動の大きさから決定されることからわかるように、運動時間を課題に要求される正確さと関連付けるものになります。

この関係は、到達運動、物をもちあげるなど、さまざまな動作に当てはまります。

運動の方向、速度、位置が変わっても、到達運動にはいくつかの点で定型性すなわち不変性があります。

第1に、手の運動経路は、ある種の運動ではかなり曲がりますが、たいていの場合は、ほぼ直線的な動きを示します。

直線的な傾向は多くの種類の運動で見られますが、筋が関節を回転させることを考えると、これは驚くべきことだといえます。

第2に、手の速度の時間変化をプロット化すると、一般的に、滑らかで、ほぼ対象な形になります。

ただし、運動に高い精度が要求される場合や修正運動がある場合には、その限りではありません。

対照的に、肩、肘、手首などの一連の関節の運動は複雑で、始点と終点の位置によって大きく変わります。

1つの関節が回転すると手は円弧を描くため、手を直線的に動かすには、肘関節と肩関節の両方を協調して回転させる必要があります。

ある方向では肘は肩より大きく動き、別の方向では肩が肘より大きく動き、身体の一方の側にある手を他方の側に動かす際には、動作の途中で一方または両方の関節が逆向きに働く必要があります。

手の軌道が関節の軌道よりも不変性が高いという事実は、運動系が、一般的には、目標の手の軌道を実現するために関節の回転とトルクを調整していることを示唆しています。

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