骨格筋のメッセンジャー「マイオカイン」

骨格筋は分泌臓器としての役割をもち、遠隔の臓器にメッセージを届けていると考えられています。

このメッセンジャーの役割をしているのが『マイオカイン』です。

マイオカインは骨格筋から分泌される液性因子群で、その中には骨格筋自身や近くの細胞に作用したり(糖・脂質代謝調節に関わっている事が多い)、内分泌的に遠隔の細胞に作用するものがあります。

ショウジョウバエを用いた実験で、マイトカインを骨格筋特異的にノックダウンすると、寿命の延長や短縮が観察されています。

骨格筋のみに生じる減少が、寿命を変化させてしまうのだから、生体に大きな影響があると考えられます。

筋を多く保つと健康や疾病の状態が良い方向に向かうとする研究報告があります。

デンマークで12年間の追跡調査では、大腿が太いほど死亡の危険率は低下する。

加齢性の筋委縮であるサルコペニアが進むと、糖尿病や血管系障害の発症率が高まることや、寝たきりの原因になる。

カヘキシアとよばれる『癌』などの疾病にともなった筋量低下は、生活の質を低下させるだけではなく、病気の進展や予後に悪影響を及ぼす。

これに対し、筋量を増やすことで悪影響を排除する試みがあります。

例えば、カヘキシアで筋量が減少した癌発症モデルマウスに、マイオスタチン(骨格筋から分泌される筋肥大抑制作用)受容体の1種であるアクチビン受容体ⅡBの薬理的阻害剤を投与したところ、筋量が元のレベルまで回復するだけではなく、腫瘍の成長は進んでいるにもかかわらず生存率が劇的に改善されたという報告があります。

心臓、肝臓、腎臓などの臓器に比べると、骨格筋はその機能が損なわれてもすぐに死に至る危険が小さいため重要視されませんが、実際は個体レベルの健康や疾病に大きな影響を及ぼすことが明らかにされつつあります。

骨格筋からのメッセージを無視せず、骨格筋を良い状態に保ち、個体レベルの機能維持に働きかけることが重要なのです。

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