歩行と伸張反射

伸張反射は、筋紡錘由来のⅠ、Ⅱ群線維によって引き起こされる反射です。

伸張反射には短潜時成分と長潜時成分があり、前者は脊髄反射、後者は大脳皮質を介する反射効果と考えられています。

大脳皮質ならびに皮質下のさまざまな運動中枢から下行性制御を受けてその感度を変化させ、さらに腱の弾性要素ならびに収縮要素との相互作用により円滑な歩行や走運動を支えていると考えられます。

例えば、トレッドミルを用いた膝関節に対する外乱実験からは、立脚相では大腿伸筋の伸張反射経路に対して位相依存的に強力な抑制効果が働いていることが示唆されています。

一方、足関節に対して機械的な伸張を与える実験からは、立脚相のヒラメ筋の筋活動の30-60%が伸張反射由来であると推定されます。

さらに、異なる歩行速度(3,4,5km/h)のトレッドミル歩行時に異なる筋伸張(~170-~280deg/s)を足関節伸筋群に与え、伸張反射の応答ならびに超音波による筋束の伸張速度を観察した実験では、歩行速度の増大に応じた背景筋電図量の増大により足関節のstiffnessが増大して筋束の伸張幅と速度が小さくなるにもかかわらず、伸張反射は減少しないことから、歩行速度の増大に応じて伸張反射経路の興奮性を高める神経機序が働いていることが示唆されています。

また、近年の前脛骨筋を対象にした研究などを考慮すると、大脳皮質は直接もしくはCPGを介して間接的に歩行運動の局面や速度に応じて下腿屈筋および伸筋群の伸張反射経路の興奮を制御していると考えられます。

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