肩峰下インピンジメント症候群

健康な人の肩では、肩甲上腕関節の外転は、通常肩甲骨の後傾と外旋という微細な調整機能を伴って、肩甲胸郭関節の上方回旋と組み合わさって生じます。

ほとんどの研究は肩峰下インピンジメント症候群の患者の場合、肩甲骨が正常より小さな上方回旋、後傾、外旋可動域を示していると報告しています。

これらの異常な運動は、上腕骨頭と鳥口肩峰アーチとのあいだでのゆとりを減じる結果を招くため、肩峰下インピンジメントの要因と考えられています。

しかし、報告によると肩峰下インピンジメントの病歴のある人々のなかには外転の際にかなりの大きさの可動域の肩甲骨の上方回旋、後傾、外旋を示す場合もあります。

これらの一見逆説的とも思える運動はおそらく肩峰下空間を広げ、インピンジメントの程度を軽減するための代償的機構であると考えられます。

特異的な肩甲骨の運動にもかかわらず、ほんの小さな肩甲骨運動の変位が反比例的に小さな肩峰下空間の容量に大きな影響を与えることが重要な点となります。

このことは滑液包炎のような腫脹をきたす付随的要因の場合で特に観察されます。

安静時の異常な肩甲骨の肢位は肩峰下空間の容量を減じる要因のひとつと考えられます。

神経学的には問題のない不良または前かがみ姿勢では肩甲骨が異常に下方回旋・前方牽引位をとり、かつ過剰に前傾・内旋した肩甲胸郭関節と関係がみられます。

このような異常姿勢は小胸筋の短縮と関連している場合が多く見られます。

肩甲胸郭関節の不良あるいは異常姿勢が背景となる病態力学は複雑であり、完全には理解されていません。

小胸筋の短縮に加え、異常な坐位姿勢、疼痛回避姿勢、疲労、前鋸筋や腱板のような肩の筋の短縮や弱化、肩甲骨と上腕骨とのあいだの自然な運同課程に関係する筋の協調性不全などが考えられます。

肩峰下インピンジメント症候群は肩甲上腕関節とより直接的に関連して発生します。

これらの病理には靭帯性不安定性、癒着性関節包炎、後部関節包の過剰な短縮、肩甲上腕関節周辺の筋短縮、肩峰下空間容量の構造的変化などが含まれます。

さらにその他の要因として肩鎖関節周辺の骨棘形成、異常なフック状肩峰、肩峰下空間内・周辺の腫脹や断片などが含まれます。

原因にかかわらず、インピンジメントが生じるときには繊細な棘上筋腱や肩峰下滑液包はさらにダメージを受けます。

その結果、慢性炎症や腱の断裂を招きます。

治療目標は肩峰下空間内の炎症の軽減、腱板構成筋のトレーニング、運動中の運動感覚の改善、自然な肩関節包内運動の回復の試みなどがあります。

バイオメカニクス的教育も治療目標の1つの要因となります。

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