筋の粘弾性性質と収縮活動

筋緊張(トーン【tone】)、もしくは筋張力(テンション【tension】)は生理学的に2つの因子によって決定されます。

一つは筋に関連する軟部組織の基礎的な粘弾性性質、もう一つは筋の収縮性器官の活動性の程度といわれ、この2つの因子によって決定されます。

筋の基礎的な粘弾性の性質は、筋の硬さ(タイトネス、スティフネス)、伸張性(長さ)の低下と関係しており、一方、収縮性器官は顎関節筋のスパズムによる開口障害、もしくは痙性斜頸でみられるような収縮性活動の増加と関係しています。
粘弾性変化に関しては、筋は収縮性の筋繊維の短縮、もしくは筋内の結合組織や隣接する筋膜の退縮に続いて短縮するか硬化する(伸張性が減少)可能性が示唆されています。

また収縮性の筋緊張は、トリガーポイントにみられる緊張した帯のような一定の筋繊維、あるいは筋の大部分の筋繊維に影響を及ぼすこともあります。
これを臨床的に考えてみると、安静時の筋緊張とは収縮性と粘弾性の両方の性質の組み合わせで起こっているものと考えられます。
硬い筋は安静時に筋緊張が高く、非刺激性の閾値が低くなります。
これらの筋は、動作の中でより容易に使われることを意味しています。
高い筋緊張の存在や低い非刺激性の閾値は、拮抗筋の抑制の一因となります。
その状態が続くと、多くの場合で疼痛や機能障害を引き起こすことになります。

そのため、硬い筋のストレッチや硬い筋の安静時の筋緊張を抑制することは、同時に抑制された拮抗筋の筋力を改善させる可能性があります。

通常やや硬めの筋は、筋力テストでは正常より強い場合が多く、著しく硬い筋は筋力がいくらか低下を示すことが多いとされています。
この弱化は、筋の硬さによる筋弱化と言われています。

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