感覚情報は運動と知覚では異なる経路で処理される

多くの研究によって、行動を制御するための感覚情報は、知覚に寄与する求心性経路とは別の神経経路で処理されるという考え方が指示されるようになってきました。

Melvyn GoodaleとDavd Milnerは、視覚情報が脳内の2つの経路を流れることを提唱しています。

背側経路は後頭頂葉に投射し、特に行動のための視覚情報の利用に関与しています。

一方、腹側経路は下側頭葉に投射し、意識にのぼるような視知覚に関与しています。

知覚と行動の情報処理の違いは、大きさと重さの錯覚実験でよく感じられます。

人は、「大きさは違うが重さは等しい」2つの物体を持ち上げた際、小さい物体のほうが重いと感じます。

100年以上前に記録されたこの錯覚は、非常に強く強固なものです。

2つの物体が同じ重さであると知らされても、物体を繰り返し持ち上げても、この錯覚は減弱しません。

これは、同じ重さの大きな物体と小さな物体を持ち上げる前、持ち上げ始めるときの準備段階に違いがあると考えられます。

大きな物体に対しては、その準備段階でより大きな把持力と負荷力を生成します。

それは大きな物体のほうが重たいと仮定しているからです。

しかし、2つの物体を交互に持ち上げているうちに、被験者は指先の力を物体の真の重さに合わせることを学習します。

それにも関わらず、大きさと重さの錯覚が持続することは、この錯覚が脳内の高次認識中枢で生じていることを示すだけでなく、感覚運動系がそれとは独立して機能しうることも示唆しています。

関連記事

コメントは利用できません。

ピックアップ記事

  1. 2017-7-19

    筋の拮抗的・共同的中和

    運動を円滑に遂行するために骨格筋はそれぞれ主動作筋、共同筋、拮抗筋と役割を持ちます。一般には…
  2. 2017-7-18

    クレンチング(食いしばり)と運動の関係

    クレンチングとは、無意識的に上下の歯を強く噛みしめる動作をいいます。習慣化されたものはブラキ…
  3. 2017-7-6

    鼠径部痛と内転筋損傷と恥骨炎

    鼠径部痛はスポーツ選手がよく訴える痛みの1つです。これらの痛みを訴える選手は、内転筋群の過緊…
  4. 2017-6-24

    筋肥大とパフォーマンスのジレンマ

    アスリートの肉体改造は、高いパフォーマンス性を生み出しますが、時として「あれは失敗だった」と言われる…
  5. 2017-6-15

    腋窩陥凹はハンモックのように

    肩甲上腕関節の関節包靱帯は複雑なコラーゲン線維の交わりあった束から構成され、それぞれ上・中・下の3つ…

FACEBOOKもチェック!

注目TOPIC

  1. 2015-6-17

    脂肪蓄積と体内時計

    体内時計の中枢である中枢時計は、視床下部視交叉上核にあり、各末梢器にも末梢時計なるものが存在していま…
  2. 2015-11-25

    ラベンダーによるアロマテラピーについて

    アロマテラピーは芳香療法とも呼ばれ、1920年代にフランスの調香師ガットフォッセが作ったとされていま…
  3. 2015-6-13

    神経系と知覚伝導路

    上行性伝導路は求心性伝導路ともよばれ、末梢からの刺激を中枢に導く経路の総称です。知覚・味覚・…
  4. 2017-2-21

    動きの大きさと発揮する力を左右する関節角度と可動域

    運動は、脳からの指令によって筋肉が収縮することによって骨が動かされ、関節の角度を変え起こるものです。…
  5. 2017-1-25

    メカニカルストレス

    メカニカルストレスとは、「力学的ストレス」のことで、何かを持ち上げたり引っ張ったりするときに筋肉や腱…
ページ上部へ戻る