伸張反射は中枢からの運動司令を強化する。

すべての運動は筋や関節や皮膚の受容器を活性化させます。

Sherringtonは、身体運動によって発生する感覚シグナルを固有受容性感覚と名付け、通常の身体運動の制御に重要な役割を果たしている提案しました。

その好例が、呼吸の深度の調節にかかわるヘーリングブロイエル反射です。

呼吸運動の呼息相では肺の伸展受容器が刺激され、肺が広がるとヘーリングブロイエル反射が起こり、吸気相と呼気相が切り替わります。

また、感覚性ニューロパチー患者について行われた最近の研究から、固有感覚シグナルは随意運動の調節にも貢献していることが明らかになりました。

これらの患者は、固有受容性感覚の欠如により腕の複雑な慣性特性を補償することができないため、異常な到達運動を示したり、腕を正しい位置にもっていくのが困難であったりします。

そのため、随意運動の調整に対する固有反射の第1の機能は、身体や四肢の生体力学的状態の変化に応じて運動出力を調整することであるといえます。

この調整によって、運動の発達に伴う協調的な筋活動パターンを形成し、運動出力に内在する変動を補償することが可能になります。

さて伸張反射ですが、伸張反射経路は閉じたフィードバックループを形成しているため、随意運動時や姿勢維持中に運動ニューロンの制御に加わることができます。

例えば、筋の伸張は筋紡錘求心線維の活動を増加させ、筋収縮を引き起こして、筋を短縮させます。

筋が短縮すると、筋紡錘求心線維の活動が低下し、筋収縮が減少して、筋が伸長します。

このように、伸張反射ループは、システムからの出力(筋長の変化)が入力となることにより連続的に働いて、筋を望ましい長さや基準となる長さに保とうとします。

伸張反射は制御する変数の基準値からの逸脱に抵抗し、あるいはこれを抑制する傾向があるため、ネガティブフィードバック機構であるといえます。

1963年、Ragnar Granitは、α運動ニューロンとγ運動ニューロンの両方に作用する下行性シグナルによって随意運動制御の基準値が決まると提唱しました。

α運動ニューロンの発火頻度は筋を必要な分だけ短縮するように設定され、γ運動ニューロンの発火頻度は、筋紡錘の錘内筋繊維を同じだけ短縮するように設定されます。

予想より負荷が大きく、筋全体の短縮が課題の遂行に必要な量より少なかった場合には、筋全体が長めになっていて、収縮しつつある錘内筋線維が伸長しているため、感覚線維の発火頻度が増大します。

これに対して、筋全体の短縮が課題の遂行に必要な量より多かった場合には、錘内筋線維は比較的緩んでいるため、感覚線維の発火頻度は低下します。

理論的には、この機構は、対峙する物の実際の負荷量がわかっていなくても、一定の範囲の運動を行うことを可能としています。

しかし実際には、伸張反射経路は予想以上に大きな負荷に打ち勝つほどの運動ニューロンを制御することはできません。

このことは、空だと思って持ち上げた箱が非常に重かったときにどうなるかを想像してみればすぐにわかります。

予想より大きな負荷に対する自動的な補償は起こらず、それを持ち上げる場合には、ひと息おいて、より大きな筋活動を起こす新たな運動を計画する必要があります。

このような長ループ伸張反射の経路は、予想外の大きな負荷に対する補償を提供するのではなく、小さな負荷の変化や筋収縮に内在する不規則性を補償している可能性が高いといえます。

このときの、伸張反射の相対的な寄与は、筋や運動課題に応じて変化していると考えられます。

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