ヒートショックプロテインとその特性

“野菜の50℃洗い”というのが話題になったのをご存知ですか?
野菜を50℃の湯で数十秒から数分洗うと、野菜がしゃきっとし、鮮度が維持され、甘味も増し、野菜の寿命が延びるというものです。
この反応は熱によって表面の気孔が開き、組織に水分が侵入してみずみずしさを取り戻すためだといわれています。

実はこの野菜の50℃洗いにヒートショックプロテイン(HSPs)というものが関与しているといわれています。
レタスを50℃の湯で90秒熱ストレスを与えると、HSPsが誘導され野菜が受ける酸化ストレスから野菜を防御し新鮮さが長持ちするという考えです。
ヒトに例えれば、若々しく長寿になると言うことで、最近化粧品開発のCMでも取り扱われ始めています。

実はこのHSPsは、大腸菌、野菜、ショウジョウバエ、動物、ヒトとほとんどの生き物に発現しており、それらを様々なストレスから守っているとされています。
HSPsは、1962年ショウジョウバエに熱ストレスを加えることで染色体に新しいパフを観察し、熱ストレスでストレス前には発現していなかった遺伝子が発現されたのを確認したのが最初になります。
その後、そのパフから合成されてくるタンパク質はその特性も含めて、「ヒートショックプロテイン(Heat Shock Proteins:HSPs)」と呼ばれるようになりました。
このHSPsは熱ストレスのみでなく様々なストレスで誘導されることから「ストレスタンパク質」とも呼ばれます。
加温装置による熱ストレス、40~42℃のお風呂(HSP入浴法)などの熱ストレスの他、加圧ストレス、運動負荷、化学物質、飢餓、テストなどの精神的ストレスなど様々なストレスで誘導され、大腸菌からヒトに至るほとんど全ての生物において認められるタンパク質になります。
ただしHSPsは単一のタンパク質ではなく、ストレスにより分子量も作用も異なる複数のタンパク質が同時に誘導されてくることから、HSPsと複数形で示されます。

地球上には現在120種以上の元素が存在しますが、その80%以上は金属元素になります。
そして残りの20%を占める非金属元素の中の「H、C、O、N」というたった4元素で人体の総元素の99%以上を占めていることになります。
人体の60%を占める水分(H2O)をはじめ、タンパク質(H、C、O、N)、糖(H、C、O)、脂肪(H、C、O)のどれもがほとんどがこの4元素でできています。
そもそもこのようなことになるのは、地球誕生の45億年前の主成分がH2、H2O、CH4、NH4、COであったことによるとされています。
これらの有機物が海水中にしみこみ、より複雑な有機物に進化し、RNA、DNAができ自己増殖能のある生物に進化・分化し現在に至っていいるのです。

しかし、当時は強力な紫外線、宇宙線、自然放電を受け分解される頻度も高い環境です。
これらの紫外線が軽減される海水の中で生命が誕生したということも実に理にかなっているというものであったともいえます。
そんな過酷な条件で生まれた細胞は、まわりの様々なストレスから自身を守るための「ストレス防御タンパク質」であるHSPsはなくてはならないタンパク質だったと考えられています。
このHSPsは現在では生命誕生の最初から遺伝子上に発現していたものではないかとも考えられています。

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