炎症の経時的変化

炎症という現象にはいくつかのステップがあり、それぞれに特徴的な変化が観察されます。

各ステップは、それぞれ完結した後に次のステップに進むわけではなく、連続的に進行します。

また部位によって進行状況が異なり、全体としてさまざまな像が混在することも珍しくありません。

まず最初のステップといえるのが、組織・細胞の損傷・壊死です。

微生物などの炎症刺激が加わると、組織、細胞が壊死します。

それを契機に生体は直ちに防御反応を開始します。

炎症刺激による組織障害に呼応して充血が起こります。

炎症の主役である白血球や免疫グロブリンなどを含む血液が病巣付近で増加します。

次いで、血管壁の透過性が亢進し、液成分が炎症の場に移動して浮腫を生ずるとともに、液成分に含まれる免疫グロブリンは直接不活化し、フィブリノゲンは血管外に出てフィブリンとなり、微生物の拡散を防ぎます。

すなわち、この相では充血と浮腫・滲出が起こります。

こういった液性因子に次いで血液中から白血球が病巣へ移動します。

まず好中球が血管の内皮細胞に装着し、細胞間隙を通過して炎症局所に遊走します。

そこで微生物などの侵入物を貪食し細胞質の消化酵素により消化します。

次いで、血液中から単球が遊走し、炎症の過程で死んだ好中球などの残骸や、微生物を貪食して病巣を清掃します。

もともと組織に定住しているマクロファージも同様です。

リンパ球は遅れて炎症局所に遊走し、抗体を介して微生物を不活化したり、ウイルス感染細胞を直接攻撃します。

これらの炎症細胞は、さまざまなケミカルメディエーターを分泌し、相互に情報を伝達し炎症の進行をコントロールします。

炎症の成り行きは、さまざまですが、一般には炎症のあとに修復という過程が続きます。

炎症においては微生物などの障害因子や好中球の分泌するタンパク質分解酵素によって組織の破壊・欠損が起こります。

欠損部では、まず毛細血管が増殖して肉芽組織が形成され、それにより補填されると同時に、血中からタンパク質などが供給されます。

次いで、線維芽細胞が増殖し、それにより産生される膠原線維が沈着して肉芽組織は次第に硬化します。

その後、毛細血管は次第に退縮し、線維瘢痕組織となります。

炎症病巣が皮膚・粘膜などの表面であれば、肉芽組織、組織瘢痕組織の形成とともに、残存する上皮組織が再生して表面を覆います。

 

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